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大人が柔道する場を作った!夜柔会の挑戦-今井彰人氏(下関柔道協会)

2024年3月13日、第14回目のシニア柔道研究会で、山口県の下関柔道協会の今井彰人先生から、大人が柔道できる場づくりについてお話をいただきました。以下、お話の動画と、そのお話の概要(文章)です。

1.動画

大人が柔道する場を作った!夜柔会の挑戦-今井彰人氏(下関柔道協会)

2.文章

私が所属する団体は、下関柔道協会の中でも、同じ志を持つ仲間で集まった「夜柔会」という会に所属しております。今回は、その中でも「大人の部活動」というテーマでお話しさせていただきます。

夜柔会の紹介になりますが、この会はスポーツの枠を超えたグローバル団体です。グローバル団体というと、通常はスポーツごとに各団体が集まって合同練習をするイメージがありますが、この会では、各団体が1つのチームとなって練習をします。指導者も1つのチームとなって指導するという意識を持った会になっています。目的は、選手の強化、技術、体力、コミュニケーションの向上です。その中には、ライバルもおり、様々な指導者の教え方があります。

もう1つの特徴として、柔道人口が下関地域では少ないことがあげられます。隣の北九州は強豪校が多く、中学、高校となると強いところを求めて北九州に流れてしまいます。そういった流れを防ぐため、市内で質の高い練習環境を整備すれば、市内に残る選手が増えるのではないかと考えています。このような思いから、夜柔会が発足しました。

活動内容ですが、日時は週1回の土曜日の19時から22時までの間です。ただし、この時間には場所の設営や片付けの時間も含まれているので、実際の練習時間はこれよりも短くなります。対象は、市内在住の幼児から大人までです。内容は、基礎練習から乱取りまで行っています。

今回の新しい試みとして、従来の少年の部の練習に続いて、大人の部活動を実施することにしました。これは昨年の12月から試行的に始め、本年からは本格的に実施しています。私自身が43歳となり、マスターズの大会に初めて出場することになったことがきっかけです。大人が練習する場所がないことに気づき、自らが実践することで環境づくりのきっかけになると考えたためです。

しかし、大人の部活動を開催すると、子供の指導に手が回ってしまい、子供がメインになってしまう傾向がありました。また、大人が集まる環境も十分ではありませんでした。地方ならではの問題かもしれませんが、高校や大学も単体では人数が少なく、大人も高いレベルを求める意識を持っています。これが、地方特有の課題なのかどうかを確認したいと思っています。

この活動から期待できる最大の効果は、大人が実際に練習することで、日頃の指導が子供目線になれることです。そうすれば、子供たちに寄り添った適切な指導ができるのではないかと考えています。特に声かけについては、指導者は子供に「声を出せ」「キビキビ動け」といった声かけをしがちですが、本人ができているかどうかが分かりません。大人同士で練習することで、自分に足りない点が分かり、適切な声かけができるようになると期待しています。

他にも、柔道の技術向上、競技レベルの向上、交流の場となることなども期待されます。

一方で、課題もありました。最大の問題は、練習時間が子供の部の後なので40分しかないことでした。その他にも、体格、経験、技術レベルのばらつき、保護者意識の強い人の存在、中学生の受け入れなど、様々な課題がありました。また、レベルが高くなると大きな怪我のリスクもあります。今回はその中で、特に練習時間が40分しかないことに焦点を当てて説明します。

この問題点を3つに分けました。1つ目は、ウォーミングアップの時間が取れないこと。2つ目は、短い時間で様々な個性をどうまとめるかという点。3つ目が最も重要で、40分で全員が「やり切った」感を出せるかどうかです。

1つ目のウォーミングアップについては、子供の部の練習に大人が加わり、子供たちと組むことで身体を使うため、大人のペースで調整しながらウォーミングアップができます。

2つ目の個性の違いについては、投げ技よりも受け身の上達を意識することで、恐怖心が取れるのではないかと考えました。レベルは違っても受け身が上手ければ、どんどん実践の中に入れるので、負荷をかけられると思います。受け身が上達すれば恐怖心がなくなり、個性の違いを受け入れられると考えています。まだ完全な解決ではありませんが、様子を見ながら改善していきます。

3つ目の「やり切った感」については、1つ目と2つ目を達成することで、質の高い乱取りに取り組めるようになりました。現在は、最後に全員が笑顔で汗をかき、掃除をしています。メンバーからは「大人の部活動みたいで楽しい」という声も上がっています。

当初は、スタートの際に円になって投げ込みをすることで一体感を出そうとしましたが、大人は投げ込みが腰に負担がかかり、次の乱取りに影響が出るため、この方法は改めました。また、乱取りの回数が多すぎると、1回の試合時間が短くなり、負荷がかけにくいことも分かりました。そこで、道場を広く使って寝技を入れた乱取りを行うようにしています。

今後の動きとしては、若手から「もっと練習をしたい」という声が上がっているため、夜柔会として地域の高校や大学に参加することで、質の高い練習ができ、学生の上達にも貢献できないか検討しています。今の3月4月は学年の入れ替わりもあり、大人も忙しくなるため、タイミングを見計らいながら活動を続けていきたいと考えています。

以上が、本日の報告の内容となります。

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