はじめての埼玉女子会 ~柔道のすそ野を豊かにしたい~

吹田京子

きっかけ

きっかけの一言は「ママさん柔道大会に出てみませんか」耳なじみのない名前を聞いたことでした。

所属道場の會田弘章先生から、「総和柔道クラブさんが主宰するママさん柔道大会に出てみませんか?」というお誘いでした。聞いたときは「はて?…ママさん、柔道…?」「ママさんバレーボールなら知ってますけどねぇ、柔道で、ママさんですか…?」

学生時代から第一線で柔道を続けてこられて、そのまま大人になっても続けておられる女性柔道家はたしかにおられます。しかし、ママさんになっても、それどころかママさんになってから、始める方がいる。それも意外と大勢おられる。私が大人の女子柔道家が意外にも数多く広くいるもんだなと知った、事の始まりでした。

そして、その翌年でしたかね。参加したんですよ、その総和のママさん柔道大会に。そしたらこれが面白くてたまらなかった。大人になってから始めてまだ茶帯や白帯のママさんがいる。競技柔道で鳴らした強者のママさんが、自分の子供から「ママ頑張って!」なんてかわいい声援を受けて、ニコニコしている。終始和やかな大会で、実に楽しませてもらえました。

一歩踏み出す

それから何年かして、2018年3月、judo 3.0の活動家小野綾子先生が、横浜で女子柔道練習会をやる。とFacebookで知りまして、またこれも楽しそうだな、と、幸手から横浜まで出かけていきました。で、これまた楽しく参加させていただいたんですが、同時に私も主催でやってみたいなという気持ちも芽生えてきました。

ママさん大会で出会った笑顔や女子柔道家同士が仲良くなる、そういうような舞台を自分で作りたい。なぜなら、だいそれたことは言えませんが「とにかくおもしろそうじゃないか」という気持ちがありましたから、横浜女子練習会後の懇親会でjudo 3.0の酒井さんに話してみました。「やってみたい」と。

だいたい企画事というのは、持ちかけた人によってやるかやらないかが決まってしまいます。

最初に話してみて「ダメだよそういうのは…あれだろ?人が集まるのか?けがの時はどうする?」なんて、やる気の花を手折られてしまうと、どうもその先に進めない。話したほうもやってみたい気持ちだけで話してますから、細かくつつかれると気持ちがしぼんでしまいます。

ところが、「へぇ!おもしろいねぇそりゃあ」てやりたい気持ちに応える人に聞いてもらうと、どういうわけか上手く先に進めるんです。今回最初に気持ちに応えてくださったのが酒井さん。「吹田さん。これはもう、あとは場所と時間をきめるだけですよ」と答えてくださった。

そして、次に応えてくださったのが所属道場の會田先生でした。「場所?この道場使ってやればいいですから、おもしろいいい企画じゃないですか、やってみたらいいですよ」いいですよの三連発。

私の、おもしろそうだからやりたい!気持ちが、それに応える人たちとつながって、女子柔道合同練習会 in 幸手会田道場が開催まで転がりだしたのです。

余談ですが、會田先生のご厚意で先生のFacebookのタイムライン上に練習会の告知が載ったとたん、東京や埼玉、栃木で女子柔道の偉い先生方の目にとまりまして、「そのビッグネームの先生まで来たらタイヘンなことだよ」とずいぶんハナシが大きくなりました。大きくなったからと言って、大した事はできないんですが、「小さな仲間内でキャンプファイヤーをしようとしていたら、気が付くと東京ドームコンサートになっていたようなものだね」なんていっておりました。

当日の様子

さて、練習会が近づくにつれて、いろいろ細々としたことが起こってきました。直前になってキャンセルがつづいたんです。というのも、開催日の2018年7月14日は夏祭りの真っ最中、子供たちはお祭りのお囃子に駆り出されてしまいます。そして、大人たちも体調を崩したり、仕事が重なったりで、思うに任せられなくなってしまいました。下手をすると参加者は0人になってしまうんじゃないかしら、と心配になってきます。

結局、当日集まった勇者は私を入れて7人でした。しかしね、人数が少ないということは、逆に「人数が多かったらここまではできないだろうな…」と削っていたプログラムが、全部できそうだぞということでして、余裕をもって自己紹介からスタートできました。練習会はママさん柔道家同士がつながって仲良くなってほしいので、あえて、おしゃべりはOKにしました。酷暑ですから水分補給も随時自由に。そしてキツイなと思ったら、巧く少し手を抜く。ルールはこれだけです。

「あら、その道着の字は見たことあるわ」
「そうなんですうちの息子のです」
「ひょっとして○○さんの道場の方?」
「あ、そうなんです」
「○○高校ってことはひょっとして監督が」
「あ、卒業生です」

なんて会話を弾ませながら、軽いアップからライントレーニング、コーンひっくり返し競争、ドイツ式鬼ごっこwith柔道、そして寝技、立ち技の乱取りで締めました。

計2時間タイトなスケジュールになり、私もヒートアップして、つい休憩時間を入れるタイミングを危うく忘れるところでした。あわてて休憩を入れましたが、全員汗だく顔は真っ赤…胸中いかばかりのものだったか。時間内にプログラムを終えることに気をとられ過ぎました。反省です。しかしメニューは面白く組むことができまして、皆さん「これは面白いからうちの道場でもやってみますよ」なんてお声もいただいて、おおむね好評でした。

見えてきた未来

今回の参加者、特に大人の方に多かったのは、ママさんになってから柔道を始めたという方でした。

子供の練習を見ているうちに「どうですか、お母さんも」誘われてみたり、つい子供とおそろいの道着を買ってみてしまったのがきっかけだったり。柔道で天下を取ってやる!てのもいいんですが、ただ「楽しむ」柔道もいいもんだ。そういうマイルドな動機で柔道を楽しむスタイルこそママさん柔道の醍醐味じゃないかなと思います。

もう一点、大人になってから柔道を始めた方は、「柔道が楽しい」気持ちが痛みやケガのネガティブな感情より濃度が高いんです。けがをしても見ているうちに体が動いてしまう。長年の稽古で痛みに対する耐性を得たわけではなく、ただ、柔道が楽しいから痛くてもやってしまう。このバイタリティーもまたママさん柔道家のカッコイイところです。そんなママさんの姿を見て、子供たちが大会などで「ママ!頑張って!」と声援を送るのは、選手のママと応援する家族とで場を暖かく楽しくしてくれます。

会が終わってみて、次はそんなママさん柔道家の輪をより広げるハブをつくりたいなと思いました。

小さなコミュニティから少しずつ人数を増やしていく、地味で地道な努力が必要ですけれど、やってみる価値はあります。競技柔道でてっぺんを目指すには遅れたけれど、柔道を楽しんでやっている人がもっと出会い、一緒に柔道を楽しめたら、それに越したことはないんじゃないかなということです。

なんでそんなことを思ったのかといいますと、実際に大人になってから柔道を始める女性がいる。そして、子供のころから柔道を続けていた女性もまたおります。しかし、学生時代の引退と同時に柔道を辞めてしまったり、柔道なんて疲れるわ痛いわ血なまぐさいもの、あたしはもうやらないわという元柔道女子も、また数多くおられます。

そうした各地に散らばっている、もしもうやめてしまっていた方、でも柔道女子の方々が、バイタリティあふれるママさん柔道家を中心に、小さくて気楽な柔道練習会を知って参加できたら、「柔道ってこんなに楽しいものなんだなあ」と、あわよくばですがまた復帰できるんじゃないか、お母さんから女子柔道のすそ野を豊かにできるんじゃないかと思ったからです。

少し大きなことを言いますと「ジャパンの柔道は、女の子もママになってからでも柔道をやっているんだぜ。だから強いんだ」なんて言われてみたい。柔道にはビッグマムがいるんだぞって胸を張って世界に発信してみたいじゃありませんか。そのために、ママさん柔道家のコミュニティがたくさんつながっていると、これは案外夢物語でもないんじゃないかと思うわけです。

吹田京子

埼玉県幸手市在住。会田道場所属。二段。趣味はマンガ、旅行、古武道。古武道の身体の使い方を柔道に活かしたい楽しい40代。

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