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日韓柔道交流、柔道に国境はない。

日韓柔道交流、柔道に国境はない。
~自分の目で見て体験して、最終的に自分がどう感じるのかを学んだ3日間~

木村有孝

概要

背景と趣旨

柿生青少年柔道会で指導員をしている木村有孝と申します。

韓国の柔道家ヒョンミン先生とは、2000年に韓国旅行をした際に友人の紹介で知り合い、2012年に再会後、私が指導する柿生青少年柔道会に10回近く来てくれています。この間、道場の若手選手を韓国に連れ、柔道交流をできないかという打合せをしつつ、若手選手からも是非行きたいという希望があり、企画をすることとなりました。

目的は、「日韓の柔道交流を通じた相互理解」ですが、具体的には、日本の伝統的な武道である柔道が海外でどう普及しているのか、どんな稽古をしているのかを学ぶこと、自分たちが習得してきた日本の柔道が世界でどこまで通じるのかを体験することです。そして歴史や食文化にも触れ、未来を築く若手選手が国際的な視野を持ち、今後の学習意欲を深めるきっかけになればとも思いました。

2019年8月23日(金)~25日(日)の2泊3日でしたが、8月23日(金)にMEGA柔道クラブ、8月24日(土)に国立京畿体育中・高校を訪問して稽古をさせていただきました。

MEGA柔道クラブ

MEGA柔道クラブは、龍仁大学武道学部柔道学科を卒業し、金浦大学警察武道学科教授のキム・ジンソン先生(七段)が代表館長を務め、平日夜間に学生や社会人が集うソウル市内でも評判の道場です。今回は、若手3人がウォーミングアップ、打ち込み(10本約20セット)、寝技乱取り、日韓試合形式の乱取りに参加しました。

国立京畿体育中・高校

京畿体育中・高校の柔道部は、全寮制の中学生11名、高校生27名が所属し、午前中は勉学、午後から柔道稽古を行い、東海大学付属高校との定期的な相互交流がある他、中国や台湾等との国際交流も積極的に行っている国立の中高一貫校です。今回は、若手3人がウォーミングアップ、打ち込み(10本約20セット)、寝技乱取り、4分間の乱取りに参加しました。

参加者の感想

感想1:高校一年生(柔道初段)

今回の韓国遠征が私にとって初めての海外だったので正直不安もありました。

しかし韓国に行って私が初めに感じたのは、現地の方の温かさでした。練習へ行かせて頂いた道場や高校の方々はもちろん、行く先々で出会う人からも多くの優しさと温かさを感じました。

また、今回は柔道の素晴らしさをより知れた気がします。

私は韓国に行く前、言葉が通じないという事が一番不安な点でもありました。しかし柔道をしている時は、たとえ言葉が通じなくても自分の学んできた柔道をするだけで、相手と心を通わせて夢中になって柔道をすることが出来ました。そこで改めて柔道の素晴らしさ、そして奥深さを知れました。

今回の経験を経て、私が一番学んだことは自分自身で物事を確かめることです。メディアだけの情報を信じるのではなく、自分の目で見て、体験して、最終的に自分がどう感じるのか、それが何よりも大切であると思いました。だからこれからは色んな世界を見て、自分の知識として身に付けていきたいと思います。

感想2:大学一年生(柔道弐段)

知らないもの、見たことないもの、人はそういった物を恐れ、自分の目で何も見ていないうちから、線引きをしてしまう。壁を作ってしまう。偏見というのは自分の世界を狭くしてしまう。

その意味でこのタイミングで韓国に行くというのは、壁を壊す機会となった。もちろん、今は危ないだとか、行くべきでは無いだとか様々な意見はあるだろう。

しかし、僕はここで問いたい。「あなた達は自分の目で見たのか」と。

正直に言えば何も不安が無く韓国に行ったわけではない。ニュースでも韓国と日本の関係については言われていたし、周りの人達の意見もあった。しかし、そんな不安は一瞬にしてなくなった。

韓国で最初に訪れたMEGA柔道クラブでは、言葉も通じない私たちを心よく受け入れてくれて、柔道を通して交流を深めることができた。私は中学3年生のときにインドネシアにも柔道交流をしたことがあるのだが、そのときに感じた「柔道に国境はない」ということを改めて実感した。

また、韓国の人達がメリハリのある練習を皆で盛り上げ、楽しんで行っていることが心に残った。やらされている練習ではなく、自ら意志をもって行う練習は日本でも実践したいと強く思った。

2日目に訪れた国立京畿体育中・高校柔道部でも同じことを感じた。食文化の面では、僕は何の抵抗もなかった。ただ、辛いものはとことん辛いということはよく分かった。

また、町の景色は日本とはやはり違う。しかし似ていることも多々あったりと、たまに韓国にいることを忘れてしまうこともあった。忘れてしまうぐらい韓国が過ごしやすかったのかもしれない。

韓国での2泊3日は有意義なものとなった。自分の目で見ることによって日本にいては分からない韓国を知ることができた。国や文化が違っても人は人だ。日本と変わらないのだ。不安はあっても、少なくとも恐れる必要は無いと思う。情報を鵜呑みにしてはいけないと強く感じた。自分の目で見たものこそ真実である。

感想3:社会人(柔道参段)

韓国に行こうと思ったのは、柿生柔道会の木村先生が柔道を通じて、色々な国、色々な方との交流をしているのに興味を持ったからです。韓国から柿生柔道会に足を運んで柔道の指導をして下さっていたヒョンミン先生とプライベートでも仲良くして頂くようになり、柔道という1つの共通点で他の国の方とこんなにも距離が縮まるんだと感じ、自分も世界で柔道交流をしたいと思いました。

韓国行きが決まりワクワク反面、不安や心配もありましたが、いざ行ってみると韓国の方は皆さん、とても優しくフレンドリーで、3日間とても有意義な時間を過ごすことができました。食べ物もサムギョプサルはずっと食べていられるくらい美味しかったです。

今回の韓国での柔道では、メガ柔道クラブにお邪魔させて頂いた時の先生が自ら柔道を楽しみ、生徒さんとの信頼関係が築けていて、全員が一体となっていた事がとてもいいなと思い、すごいなと思いました。正直、色々な生徒さんがいる中で全員やる気にさせ、伸ばしていくということは指導者として当たり前のことですが、すごく難しいことだと思います。

日本では柔道人口が減ってきていますが、その先生のようになり、日本柔道を盛り上げていけたらと思います。また韓国、その他の国に行き柔道、文化などを学んでいきたいです。柔道最高!!!!!

引率者からの報告

イ・ヒョンミン(現地コーディネーター兼通訳、柔道五段)

私は、この度、柿生青少年柔道会の日韓柔道交流の通訳及びアテンドをさせて頂いたイ・ヒョンミンと申します。柿生柔道会とのご縁は、もはや10年近くなってきました。道場へ訪問する度に先生方、子ども達、父母会の方々が笑顔で礼儀正しく迎えてくれ、韓国(道場同士)とも交流に繋がればと思いました。その結果、先日引率の木村先生をはじめ若い学生達が隣国まで足を運んでくれました。

初韓国ということから緊張感も感じたと思いますが、それは一瞬で消えました。
道場の先生や学校の監督・生徒さん達に暖かく迎えて頂き、韓日の青年達が同じ場所で汗をかきながらお互いに分かり合える場になりました。柿生の若い3人にも良い刺激になったとも言えるでしょう。こうして今後韓国の子どもや社会人が交流を通じて、お互い分かち合える関係になれたらと思います。

以前、Judo3.0のインタビューでも申し上げましたが、民間レベルでの韓日柔道交流の架け橋として微弱ながらもお手伝いさせて頂きたいと思います。今はごく小さな一歩ですが、未来への偉大な飛躍への第一歩だと信じています。

木村有孝(引率、柔道弐段)

私は、小中学生時代にマレーシア日本人学校で柔道を覚え、週末は現地の道場に通い、日々が国際交流でした。柔道を通じた国際交流の楽しさ、国際的な視野を学んで欲しいと思い、若手3人を引率しました。その3人は、青少年健全育成をテーマに51年の歴史ある道場で育ち、私が指導員になる前後から一緒に稽古を共にしてきた仲間でもあります。

韓国の先生方から、「3人は一本勝ちができる。基本的な組手と崩しが上手い」と評価頂き、大変うれしく思いました。政治経済面における日韓の関係が不安定な中での引率は、悩むこともありましたが、マスコミによる偏った報道よりも友人であるヒョンミン先生の情報を信じた結果、道場関係者が歓迎して友好的に接してくれた他、お店の方々、道ですれ違う方々からも親切に声掛けをしてくれ、3人の韓国への見方もより前向きになったことと思います。

最後になりますが、今回企画から全スケジュールに同行してくれたヒョンミン先生、MEGA柔道クラブ及び国立京畿体育中・高校の先生方と選手の皆さんに改めてお礼を申し上げると同時に、今後の日韓友好が民間レベルから改善され、柔道を通じた交流が発展することを願っております。

補記:滞在中に食した韓国料理

韓国を訪問する楽しみといったらやっぱりご飯!美味しい韓国料理を堪能してきました。

Reported by 木村有孝 先生
子どものころマレーシアで柔道を学ぶ。柿生青少年柔道会(神奈川県)指導員。社会福祉士・介護福祉士。

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