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中学の部活・地域・支援学級での柔道あそびの活用 -遠藤 恵一氏(神奈川県 中学校教諭)

2021年11月19日(金)、柔道あそび研究会にて、遠藤 恵一氏(神奈川県 中学校教諭)から、「中学の部活・地域・支援学級での柔道あそびの活用」というテーマでお話いただきました。以下、その抜粋となります。

  1. 自己紹介
  2. 中学柔道部での柔道あそび
  3. 地域での練習会での柔道あそび
  4. 個別支援学級での柔道あそび
  5. まとめ
  6. 動画

1. 自己紹介

横浜市の中学校のほうで柔道部の顧問をしている遠藤と申します。

中学校では個別支援学級の担任をしており、柔道部は前任校も合わせると10年ぐらい顧問をしています。初任校は肢体不自由の生徒を担当していました。柔道のほか、大学ではブラジリアン柔術を習い、大きく影響を受けました。

学校は神奈川県横浜市の公立中学校で、人数は約 500 人ぐらい、横浜の中学校では中規模の大きさになります。

2. 中学柔道部での柔道あそび

柔道部の部員は現在約 15 人、そのうち 1/3 ぐらいは個別支援学級の生徒が在籍しております。

最初に柔道部の指導を始めたころは、「生徒を強くしたい」という思いがあり、自分がちょっと柔術をやっていたりしたので、変わった寝技を取り入れてみたりするなど、いろいろやっていました。

確かに一部の生徒は伸びたりしましたが、卒業した後に「柔道をやりたい」と柔道を続ける生徒が少なかったりしました。

「もともとのところで柔道が好きになってもらい」という想いがあり、また、個別支援学級の担任でもあるので、発達凸凹のある子供たちも含めて柔道を楽しんでほしいと思い、柔道の中にあるエッセンスを切り取って、みんなで柔道で遊ぶことができる機会があったらいいなと思ってやっております。

中学校の部活では様々な柔道あそびをやっています。

左側の写真は、じゃんけんをして、勝った方が相手を押してあげて、負けた方が受け身を取るという簡単なワークですが、意外とウケがよくて、初心者体験に来た子供たちはとても喜んでやってくれます。

隣の写真は追いかけっこですが、犬の形で走って、触られた子がまた鬼になって相手を追いかけており、四つ這いで走ってる子がいると思いますが、楽しく遊んでいます。

あとは、練習前にやるだけでなく、新入生の体験のときに安全な形で柔道を体験してみようということで、こういった柔道あそびをしたりしています。

中学校の部活動は、平日が 2 時間、休日が 3 時間となっており、さらに、下校時間が横浜市は決まっているので、部活動は、4時スタートで片付けを含めて5時まで、実質 1 時間になっています。

その 1 時間を黙々と練習するという方法もあると思いますが、柔道あそびで友達と楽しんで、その遊びの中でその集中する場面が出てくるので、その集中した空気を作ってから、柔道の練習に取り組んでいます。

左側は、フラットマーカーを使ってドッチボールをしている様子です。体力差があるので、シールドを入れたりすると、盛り上がります。

右側はバランスボールで、体幹トレーニングをするだけでなく、二人でボールを奪い合うゲームにして体さばきを入れたりしています。

お勧めはフラットマーカーです。薄いゴムで、畳の上で滑らないし邪魔にならないので、これを使って、例えば、陣地を取るゲームをやったりしており、最近のヒットでした。

3. 地域での練習会での柔道あそび

もう一つ、柔道あそびを使ってすごく良かったことあります。「ありんこ練習会」という名前で、月 1 回ずつやっています。

さきほど自分がブラジリアン柔術をやっていた話をしましたが、ブラジリアン柔術の練習会はいろんな人たちが入ってきて、みんなで組み技の練習をしたり、すごく活気があって自由な雰囲気があって、本当にインクルーシブだと思っていました。

そのような環境を柔道でもできたらと思い、学校の格技場を借りて、 いろんな人に「みんなで組み技をやりませんか」と声をかけて、地域の道場の方々や昔の教え子などが集まってくれて、柔道着を着ないでも組み合ったりすることができる練習会を開催しています。

これがとてもよくて、さきほど柔道部の中に個別支援学級の生徒がいるというお話をしましたが、練習会に参加しており、なかなかコミュニケーションを取ることが難しいと言われている子供たちが、練習会でみんなで声を掛け合いながら、イキイキと練習することができています。

ここでポイントになるのが柔道あそびです。

いろんな人たちが来ており、レスリングベースの方であったり、「打撃しかやっていません」という方であったり、写真を見ていただけたら分かると思いますが、お年寄りから小さい子までいます。

そのなかで、最初から「自分たちのルールでやってください」といっても、なかなか最初は参加できないことが多いので、ここで柔道あそび、例えば、じゃんけん柔道をしたり、鬼ごっこをしたりすると、いいアイスブレイクになって、その後の乱取りがをとてもいい雰囲になります。

柔道あそびをすることで、みんなが仲良くなるし、会場にいい空気ができる、ということが感じているところです。

柔道あそびの紹介ですが、左側は、コーディネーションゲームの本にものっているゲームで、コロコロとボールを転がして、ゴールを狙います。足先を使うので、足払いの練習にもなり、夢中になってやっています。一対一で、後ろのマーカーのところに線を引いてある状態で相手の足の間を抜いたり、エアホッケーのようなルールでやったりとしています。

右側は帯をつかっていますが、 9 マスを作ってマルバツを3 つ揃えてくるゲームで、2グループが走っていってマーカーを置くのですが、これも夢中になって子供たちは取り組んでおり、いろいろ考えてみんなで声かけたりなど、とても盛り上がるワークです。

書籍の著者である丸山先生が、ありんこ練習会に来てくださり、柔道遊びをやってくれました。本当に子供たち夢中になって楽しんでいました。

ありんこ練習会は6年近くやっていますが、ここに参加した小学生が、自分の勤務する中学校の柔道部に入部してくれることもあり、他の中学校の柔道部に入部した生徒も顔を知っている同士なので、みんなで稽古をしているという感じができており、とてもいいなと思っています。

ブラジリアン柔術を習っていたときに師事していた中井祐樹先生が「マーシャルアーツコミュニケーション」という言葉を話されており、格闘技でコミュニケーションをとっていく、という点がとてもいいと思っていますが、柔道あそびが、練習会や部活にしても、最初のコミュニケーションの部分を作ってくれたと思います。

4. 個別支援学級での柔道あそび

中学校で個別支援学級の担任をしており、知的障害、自閉症などの情緒障害のある子供たちが通ってるクラスになりますが、ここでも柔道あそびが有効に活用できました。

個別支援学級には自立活動や体育の時間があります。自閉症や情緒障害の子供たちはなかなかコミュニケーションがとりにくいということがあったりしますが、楽しいこと、遊びは好きなことが多く、例えば、じゃんけんをして受け身を取るというゲームなど、畳の上で一緒にやると、とても喜んで活動してくれます。

子供たちはエネルギッシュで、中には ADHD で多動で動き回る子供もいますが、柔道遊びを通じて、そういうエネルギーをしっかり受け止めることができます。

また、私たち授業をする支援者のほうも、実際の柔道は難しくても、柔道あそびであれば、年配になって体力がなくなってきた支援者も子供たちと一緒にコミュニケーションをとりながらやることができます。

柔道あそびによって、支援者と子供たちの関係を柔らかくでき、柔道の1 対1で組むとか、相手との距離が近いという特長が、個別支援学級の活動で活かされていると思います。

5. まとめ

部活は柔道あそびをすることでチームの雰囲気が明るくなりました。子供たち同士の仲がよいのですが、柔道あそびで培われた側面があると思います。

また、地域の練習会で、部員が柔道あそびを小さい子供に教えたりしており、縦のつながりができていたり、また、個別支援学級の子供たちの中でも、柔道部に入っている生徒が、柔道あそびを他の生徒に教えていたりして、個別支援学級の中でもコミュニケーションの幅が広がっています。

柔道には、相手との距離が近かったり、スキンシップをとれるという、他のスポーツではなかなかできない特長があります。書籍はとても分かりやすく、また柔道着を着なくてもできるので、おすすめですし、学校の先生も使ってみると面白いのではないかと思っています。

6. 動画

中学の部活・地域・支援学級での柔道あそびの活用 -遠藤 恵一氏(神奈川県 中学校教諭)

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