チェコではじまった柔道指導者のキャリア!〜海を渡って感じた柔道の魅力〜

こんにちは、3.0マガジン編集部の小崎亮輔です!今回は2016年よりヨーロッパにあるチェコ共和国にて柔道指導者としてのキャリアをスタートさせた米永源先生のお話を伺いたいと思います。チェコと言えば、昨年のリオオリンピック100kg級の金メダリストのクレパルク選手を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。以下からは米永先生がチェコで指導者キャリアをスタートさせた経緯や、文化の違いで考えたことについてお話をいただきます。


 

はじめまして。こんにちは。現在チェコ共和国のOlomouc(オロモウツ)という街のJudo Klub Olomoucでアシスタントとして柔道の指導している米永 源と申します。よろしくお願いします。2016年3月に大学を卒業した後 5月末にこの街に来たので、はや1年2ヶ月が過ぎました。現在は柔道、私生活ともに昨年できなかったことや知らなかったことにチャレンジしながらチェコでの日々を過ごしているところです。

チェコという国について

私自身チェコについての情報をほとんど知らなかったので簡単に紹介させて頂きたいと思います。以前はチェコとスロバキアがチェコスロバキアという1つの国でした。1993年チェコ共和国とスロバキア共和国に分かれました。チェコの首都は「プラハ」で有名な物はクリスタルとビール!柔道をした後 友人と飲むチェコビールは格別です!笑

さて、なぜチェコなのかということをよく聞かれます。もともと海外が好きだった、英語が得意だったということではなく、私が学生時代にチェコから来ていた留学生との繋がりで現在に至ります。彼は私と同じ大学で半年間勉強しながら柔道の練習もしていました。彼に出会うまでも私自身いろんなきっかけがありましたが、その点についてはまた機会がありましたら書かせていただきたいと思います。

チェコの柔道について

1936年に嘉納治五郎先生が首都プラハに初めてお越しになり、当時のチェコスロバキア「柔術連盟」が設立。創始者はFrantišek Smotlachaという方。記念すべき第1回チェコ柔道選手権は1940年に開催。第2次世界大戦中であった1952年ヨーロッパ柔道連盟に加盟しました。

2016年リオデジャネイロ五輪。チェコでも様々な競技で活躍を期待されていました。柔道競技では3名の選手が出場し、-100kg級でLukáš Krpálek選手がチェコ柔道史上初の金メダルを獲得!またリオ五輪でチェコチーム全競技を通して唯一の金メダルということもあり、テレビや雑誌で多く取り上げられ、現在 彼はとても有名です!(動画:リオオリンピック100kg級金メダリストのクレパルク選手)

Krpálek選手は2016年の年間最優秀スポーツ賞を受賞し、彼のコーチもベストコーチ賞でW受賞をしました。チェコではアイスホッケー、サッカーがメジャーなスポーツです。今後 柔道も人気が出てくればと期待しています。

1993年に始まったチェコ柔道連盟には現在約20,000 人が登録しています。競技人口の内訳をみると、11歳以下が多いです。残念ながら11歳を過ぎると徐々に柔道から離れて行く人が増えています。私が住んでいるオロモウツには3つの柔道クラブがあり、私のいるJudo Klub Olomouc が3つの中で一番大きいです。

クラブでの指導について

Judo Klub Olomoucは1999年に設立され、現在230人の生徒と12人のコーチが在籍し年齢や経験、上達レベルに合わせて6つのグループに分けて指導しています。チェコでは部活動制度が無いので町道場の様なシステムです。近所に住んでいて放課後 道場に来る生徒やOlomoucに近い村や街から練習に参加する生徒、高校生になると親元を離れてOlomoucの高校に入学し、柔道をする生徒もいます。エレメンタリースクールに通う生徒(9歳-14,15歳)は英語がまだ堪能ではないので私は主にカデ・ジュニアグループで指導しています。時々 15歳以下のグループに参加するときは英語を話せるコーチが通訳をしてくれます。

練習を見ていて気になるところは、背部や片襟、隅返しや大腰といった技がよく見られ、引き手と前襟を持って柔道をする子どもが少ないです。崩しや基本的な動作を指導するために依頼があれば私が違う街の道場に行く機会もあります。チェコでも基本的に柔道の単語は日本語を使っていて練習中も技の名称、「Uchikomi」や「Nagekomi」「Hikite,Tsurite」「Hajime,Mate」等の言葉を使います。普段の練習では、私が基本的な打ち込みや投げ込み、前襟を持った時の動き等の反復練習を教え、コーチがより実践的な動きや組手を指導するという流れで指導しています。コーチの柔道に対する理解と取り組みによって、どこを持ってもしっかり投げれる一本を取れる柔道を目指しています。私も学生時代にサンボの経験があり柔道とサンボのいい点を見る事ができたので、柔軟な発想や技術が今の指導に活きていると思います。

チェコの学校では掃除をしてくれる清掃員がいて、日本の学校のように生徒が掃除をすることがないようです。そのせいなのか、道場や試合会場でゴミを放置する人が多く見られます。また乱取り後、 相手を尊重するものの、歩きながら頭を下げる握手や、タッチで終わるなど、はじめは文化や生活スタイルの違いを感じざるをえませんでした。(もちろんきちんとしている人もいます!)またヨーロピアンカップや国際合宿が年間を通して頻繁にあるので様々な国に行ける事がヨーロッパの良い所でありますが、先生方にとっては運転が大変かなと思います・・・

海外に出てから変わったこと

人への関心が強くなった

海外に出る前、 海外の柔道のイメージというと、世界選手権やオリンピックのメダリストのように、「力が強い」「背部を持ったりする柔道」というような一般的な認識と同じでした。私は、日本に遠征で来る海外のナショナルチームと接する機会がありましたが、 当時は彼らと話そうとか友達になろうという発想もありませんでした。

しかし、海外に出てから、私は、柔道をしている人を通して、競技はもちろんのこと、教育や人とのつながりをより感じています。

いま指導している生徒も、先生が話をする時や技の説明する時に寝そべりながら聞いたりしていることがたまに見受けられます。 「日本と文化が違うからな」と解釈してもいいのですが、「本当に強くなりたい」「話を聞きたい」という生徒はきちんとしています。柔道を通してマナーや姿勢、考え方を学べるのは日本と同じだと再確認しています。

他方、日本と異なる点は「個人が自立している」と言う点です。 強くなるのも、何を選ぶかも自分次第。「将来自分がどうなりたいか?」「 トレーニングがしたい!」という生徒にコーチが支援、指導するという自立を促すクラブのコーチの考え方が私にとって印象的です。

私は、柔道という環境を選んだことで、たくさんの先生方、選手、生徒に出会い、友人となることができました。生まれた国や地域、文化が違うから、普通に生活していたら、会うことも友人になることもなかった人々です。

これは柔道という共通のツールを用いて話ができる、時間をシェアできるということが非常に大きいです。そして、ソーシャルメディアやインターネットによって、自分の国に帰っても連絡をとりあうことができます。

各地で開催される国際試合や国際合宿で再会した時は自然と仲が深まります。もし友人の故郷や国で開催される試合や合宿に参加したら、試合や合宿で会わなくても、その友人と一緒に食事に行くこともあります。柔道が国を超えて広がっているから、私も国を超えて友達ができる。柔道が本当に国際的なスポーツだということを肌で感じます。

他競技でもこうした繋がりができると思います。ただ柔道の場合は「強い」「技術がある」だけでなく、人間教育が原点になっていることが、こうして国際的に広がった一つの理由であり、私が様々な人と国や文化を超えて繋がりができる理由だと感じています。

このように、柔道を通してマナーや姿勢、考え方を学べるのはチェコも日本と同じと再確認したこと、他方、同じ柔道教育でも「個人の自立」の程度が日本とチェコで異なることを感じたこと、そして、国と文化が違うたくさんの人と柔道を通じて仲良くなったことで、私は海外にきてから、人に関心を持つことが強くなりました。これからは柔道だけのコミュニティではなく、他競技・他文化の人との関わりを作りたいと思います。そして様々な分野から学び、柔道に還元していきたいです。

柔道の深さを感じた

試合の勝敗を求めていた時と比べると、本当に柔道は深いと感じます。私自身まだまだ全く理解していないレベルです。 海外で指導できる立場か不安ですが、まだまだ学ぶ事の多い柔道。 柔道から得られるご縁やチャンスや困難、苦労を生徒たちと共に経験し、乗り越えて これからも柔道に携われたらいいなと思います!

p.s. 写真は7月14日の練習風景とウォームアップのサッカーです。 夏休みなので人数は少ないですが頑張っています!

プロフィール
米永 源(よねなが げん)

1993年生まれ。鹿児島県出身 。柔道弐段。幼稚園の同級生が柔道をしていたことがきっかけで小学生から柔道を始めた。
大学3年の時に進路を考えたとき、自分のやりたい事は何か、やってきた事を活かせる道を探した。青年海外協力隊への参加を考えたが、チェコから来た留学生との出会いでチェコ行きを決断。現在に至る。

メッセージ

ぜひ柔道着を持ってオロモウツへ遊びに来てください!観光メインで+柔道でも構いません。柔道を取り入れた旅もおもしろいです!共に柔道を楽しみ新しい繋がりができて刺激的な時間になると思います!生徒、コーチと共に心よりお待ちしております!

 

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