勝ち以外の価値に焦点を当てた柔道イベントを作った!
2024年2月24日、栃木県宇都宮市で、勝つこと以外の価値にも焦点を当てた「Jキッズフェスタ」が開催されます。その主催者の一人である葵陽塾の菅野先生にイベントの目的や内容をお話いただきました。
勝ち以外の価値に焦点を当てた柔道イベントを作った!菅野裕之氏(葵陽塾)綾川浩史氏(文武一道塾 咲柔館)
- 咲柔館と葵陽塾
- Jキッズフェスタ開催の経緯
- Jキッズフェスタの要項解説
イベントの三つの特長
以下、要綱を読んだり、菅野先生のお話を伺ったりして、一視聴者としてこのイベントの特長だと思った点を三つあげます。
一つ目は「大会」ではなく「フェス」(祭り)であることです。イベント全体における試合の時間が少なく、9時から柔道遊びをして、10時から11時半まで試合をしてその後はグループ対抗柔道クイズ大会。昼食後は技の講習会と乱取りで16時に終了。
畳の上にあがった幼児や小学生が鬼ごっこで盛り上がり、試合をした後は初対面の中学生や高校生とチームになってクイズで盛り上がる様子が目に浮かびます。
二つ目は、柔道について、本人の習熟度に応じた試合と稽古になっていることです。試合は寝技だけ、足技だけ、制限なしの3種類用意されており、例えば、柔道はじめて半年程度で受身がまだ十分にできない場合は寝技の大会へ、柔道はじめて1年である程度受身もできるが試合に慣れておらずちょっと不安という場合は足技の大会へ、というように、本人の実力に応じた大会になっています。
また、午後の乱取りは「三様の稽古」、例えば、中学生や高校生が小学生の相手をするときは、相手を引き立てるような稽古をすることが求められています。
三つ目は、試合で受身が上手かった子供に「安全賞」を与えるなど、勝つこと以外の点でも表彰することです。しかも、参加者の所属するチームの指導者が「審査員」(審判ではない)になって、子供の様子を見て自由に賞を創設して授与することが求められています。
子供の良いところを見つけ出さなければならない審査員は大変だと思いますが、たくさんの子供達が表彰されることになるので、笑顔で帰る子供は多くなると思います。
一般的な大会といえば、試合に負けると叱られたりガッカリされたりして、意気消沈して帰宅するという光景が「普通」だったと思います。
しかし、柔道をする子供の中には、柔道は好きだが、試合に出ることは好きではない、競うことを好まない、という子供達もいます。もしかすると彼ら彼女らは、この「普通」の大会に馴染めず、人知れず柔道から離れていった人もいるかもしれません。
今回、菅野先生を聞いた参加者からは、「これまで何が足りなかったのか気付かされたような思いがした」という感想もありました。
以上、イベントの特長として三つ述べましたが、それ以外にも様々な工夫が凝らされています。詳細は菅野先生のお話や要項をご覧になっていただけたらと思います。
実際にイベントが開催され、イベント参加者からどのように評価されるのか、そして今後どのように発展していくのか、楽しみです(3.0マガジン編集部)。