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ある大人の女性のマスターズへの挑戦。柔道を始めたら私の世界が変わった。

こんにちは!3.0マガジン編集部です。三重県の社会人の女性、瀬古里美さんが、大人になってから柔道を始めて黒帯を目指すに至った経緯を伺った記事「7回目の挑戦。ある大人の女性が黒帯を目指す理由」につきまして、多くの読者から「その後どうなった?」というお問い合わせをいただいておりましたが、ついに黒帯を取得されたと伺い、再度インタビューさせていただきました。

黒帯の取得へ

編集部:黒帯を取得されたと伺いました。

瀬古:ついに9回目の昇段試合で黒帯に必要なポイントを取得することができました。全然勝てませんでしたが、最後の試合で1勝することができました。この1勝は極上に嬉しかったです。

編集部:9回も昇段試合を受けられたのですね。黒帯を修得されるまでどれぐらいかかったのですか?

瀬古:2015年10月から2人の息子と一緒に始めたので、2年半ぐらいかかりました。柔道を始めたのは息子の思春期の安定を図るためでしたが、その後、ハワイにいって柔道交流をした息子から「お母さん、一緒に黒帯をとろう!」と誘われて、2016年11月から本格的に昇段審査への挑戦が始まりました。昇段試合の相手は現役の中学生や高校生だったのでなかなか勝つことができず、さらに体調不良のときも一時期あったため、黒帯を取得するまで本当に長く感じましたが、2018年1月、9回目の昇段試合で昇段に必要なポイントを得ることができ、翌月、形の審査に合格しました。私の黒帯への挑戦に対し、たくさんの仲間からの応援があり、皆さんに支えていただきました。そして、仲間から黒帯をプレゼントしていただきました。本当にありがとうございます。

編集部:黒帯のデザインをご自身で考えたと伺いましたが、どのような黒帯にされたのですか?
こだわった点は、オレンジリボンマークの刺繍です。皆さん、ご存知でしょうか?オレンジリボンは児童虐待防止を呼び掛けるマークです。私は助産師として働いており、子どもの虐待防止に関心を持っていただけたらと思い、オレンジマークを黒帯に入れました。

編集部:黒帯を締めた感想はいかがですか?

瀬古:背筋が以前より伸びるように感じました。仲間からは「似合う」とか「貫禄が出てきた」とか言ってもらえたり、クラブの子ども達からは「(黒帯)ピカピカ~」と言ってもらったりして嬉しくなってます。それから出稽古にいって、私のことを知らない男子高校生が、私を黒帯の人と思って乱取りを申し込まれたときは、気が引き締まりました。「浮かれてばかりいられない、もっと稽古を続きなきゃな~」とも思いました。

編集部:改めて、この2年半を振り返ってどのように思いますか?

瀬古:私がなぜこんなに柔道を頑張ってこれたのかを振り返って考えてみたら、すべては子どもたちの笑顔のためで、頑張るエネルギーの源は2人の息子のおかげだと気づきました。黒帯をいただいた日は二男の小学校卒業式の日で、私が黒帯を家に持ち帰ったら、長男が体操服の上から黒帯を巻いていたのが可愛かったです。忘れられない思い出になりました。黒帯取得が私のゴールではないので、今後も自身の発展を目指していきたいと思います。

マスターズ大会への出場

編集部:2018年5月に愛媛で開催されたマスターズ大会の女子団体戦に出場されたと伺いましたが、なぜマスターズ大会に出場しようと思われたのですか?

瀬古:私はこれまで昇段審査の試合以外の試合に参加したことがなく、「黒帯をとったら大会に出場してみたい」と思っていました。マスターズ大会はjudo3.0の仲間が出場することを知り、女子団体戦のメンバーに入れていただきました。ただ、大会にエントリーしたあと、ひょとしてものすごくやばい挑戦をしようとしているのではと不安になり、時にjudo3.0の仲間に弱音を吐き、励ましてもらいつつ、とにかく稽古するしかありませんでした。

編集部:お仕事をされながらの稽古だと思いますが、どのぐらい練習されたのですか。

瀬古:普段なら週2回のペースで稽古をしていましたが、大会前は週3回、休まず稽古に通いました。そして、自宅で毎日腕立てをしました。

編集部:大会当日はいかがでしたか。

瀬古:プログラムで自分の対戦相手を知ると、バリバリ柔道されている方で、私より体格もずいぶん大きくて、もう恐怖しかありませんでした。ただ、試合に勝つことができませんでしたが、チームはなんと3位に入賞できました。団体戦で仲間がいてくれることの喜びと、表彰台に立ってメダルをかけてもらえる喜びを味わいました。さらに、国際大会だったので、ノルウェーとスウェーデンの方など海外のお友達ができました。こんなつながりまで出来て、とても得るものが大きかったです。

編集部:マスターズ大会に出場されたら、海外にもご友人ができたのですね。

瀬古:はい。懇親会があって、海外の女性の柔道家が着物を着て参加されていたり。そこで海外の柔道家の方々とお話することができました。とても楽しい場でした。柔道の得意技の話とか、地元の三重県の魅力を話したり、その後、試合会場で会ったとき一緒に観戦したりとか。言葉は充分にはわからないけど、一緒にいるとなんとなくわかるところもあって。

編集部:大人の女性がマスターズ大会に出場する理由や楽しさみたいはどのようなところにあるのでしょうか。

瀬古:仲間と団体戦で支え合い、喜びを共有する楽しさを味わうことができました。あと、子育てをしていると、自分の価値観がそのままでは通じず、考え方とかいろいろ変えないといけないときがしばしばあります。そんなときに、どんな人に会えるか、どんな影響を受けるか、が大きいのではないかと思います。私は、マスターズ大会で、仲間と喜びを共有し、そして海外にも新しいつながりを得ることができました。大人の女性にとってマスターズ大会とは、いろんな人に出逢い、いろんな価値観に出逢えるチャンスなのではないでしょうか。

編集部:大人の女性が30代後半から柔道を始められ、お仕事をしながら昇段試験を10回も受けて黒帯を取得され、さらにマスターズ大会に出場され、と、たくさんの時間や労力を柔道に費やしたと思いますが、改めて、柔道を始められていかがですか。

瀬古:柔道で自分の人生がこんなに豊かに育つとは思ってませんでした。柔道を始めて私の世界が変わりました。柔道に出逢う以前は、職場や家庭の様々な人間関係によって、ときには自分の体調を崩すこともありました。でも、柔道と出逢い、素敵な人にたくさん出逢いました。国内ばかりでなく、海外にも素敵な友達が出来ました。自分らしく、活き活き過ごせる場所があちこちにできたのです。支えてくれる友達が世界中にいるって、すごく幸せなことだと思いませんか!これからも自分の世界を広げていきたいです。

瀬古 里美(せこ さとみ)

三重県在住、2人の息子(中学二年生、小学校6年生)を育てる母。職業:助産師 趣味:料理、温泉旅行、Hippo family club(多言語サークル活動)、ホームステイの受け入れ(アメリカ、中国、韓国、香港、カンボジア、台湾、パキスタン、ドイツ等のゲストを12回経験)、スキー、スノーボード。

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