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「柔道が育むたくましい身体と心」(第2回フォーラムレポート1)

概要

 

  • 2017年4月30日に開催された第2回フォーラムJUDO3.0のゲストスピーカー、脳科学者の松井崇先生の講演「柔道が育むたくましい身体と心」を聞いた参加者(酒井)のレポートです。
  • 講演から個人的に学んだことについてのレポートです。ゲストスピーカーが実際にお話した内容とは異なりますのでご注意ください。
  • タイトルは「「柔道が育むたくましい身体と心」脳科学者 松井崇先生のお話を伺って。」
1.課題: 柔道は教育的に効果があるのか?

柔道の目的、それは、嘉納先生によれば、「柔道の稽古を通じて「精力善用・自他共栄」という「道」を体得し、人生に「応用」できるようになることにあり、柔道の技術を身につけてもそれ自体はサーカスの芸と同じく人生でほとんど役にたたないが、それを通じて人として成長するから価値がある」、それを今風にいうと、柔道を通じて「問題解決能力」を身につけることができ、社会で問題解決ができような人間になれるから、柔道には社会的な価値がある、というものだ。

しかし、大きな課題は、「柔道やスポーツをすると本当に「いい子」が育つのか?」「-本当に「人間教育」として効果があるのか?」疑問が残ることである。これはもちろん柔道に限らず、体育やスポーツ一般に当てはまる疑問である。

柔道は本当に教育としていいのだろうか?本当に、柔道の稽古を通じて「精力善用・自他共栄」という「道」を体得し、人生に「応用」できるようになるのだろうか?経験談はたくさんあるが、実は、これまで科学的な研究が少ない。

2. 脳の研究が示すもの

この課題について、松井崇先生のお話からとても多くの学びをいただいた。

最近、脳の研究が進み、運動すると脳機能が向上する(人の認知能力や非認知能力)、という研究がでてきている。実は、このような、運動したら記憶力や情報処理能力(認知能力)、意欲(非認知能力)が上がる、という研究結果は、まさしく柔道が教育上の効果があることを示す科学的な証拠。このフォーラムで松井先生から、運動と記憶力、運動とストレス、運動と脳グリコーゲンの関係など、様々な研究結果を伺いました。

3. あるマウスの映像が示すもの

この詳細は省くとして、もっとも印象深かったのは、認知能力の低下したマウスが運動したら認知能力があがった、という実験の映像を見せていただいたこと。

マウスがプール内の足場を記憶して見つけることができるか、という実験で、認知能力が低下し足場の位置を教えても記憶できなかったマウスが、運動した後、足場の位置を記憶し、足場にたどり着くことができた、という映像。

運動したマウスが足場にたどりついた!
とても心に残る映像でした。衝撃的ともいえます。

それはなぜか?

(映像をお見せできないので伝わりにくいと思うのですが)

それは柔道教育の目的を象徴的を示していると思うから。当初マウスは問題解決ができなかった。しかし、運動することで「問題解決能力」が向上し、実際に問題解決した。これは柔道で問題解決力を身につけ、それを社会で応用する、という柔道の目的そのものように見えまた。

4. 柔道教育をよくする方法

では、柔道をした人は、このマウスのように「足場にたどりつける」か、つまり、柔道をした人は「問題解決能力」を向上させ、実際の社会で「問題解決」できるようになるのだろうか?

柔道人口は急激に減少し、それは、あたかも社会から柔道教育は必要とされなくなっているかのようです。しかし、もし指導者が「脳機能を柔道でどうやって高めるか」という話し合いができるようになったら、柔道はより多くの人から必要とされる教育になると思う。なぜなら、このような話ができるようになってはじめて、勝敗に拘泥しない「人間教育」としての柔道を具体的に考えることができると思うからです。

このことを松井先生のお話から学びました。

酒井重義

#柔道レガシー





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