小さな経験の積み重ねが将来の選択に影響を与える-モンゴルで柔道をして印象に残ったこと-栗田愛弓氏
NPO法人judo3.0は、モンゴルの道場に畳を贈り、国際柔道交流を進めていこうというプロジェクトを立ち上げ、多くの皆様の協力をいただき、2023年9月、モンゴルに畳を寄贈、そして、2024年9月、寄贈した畳が敷かれた道場にて、国際柔道大会が開催され、日本の生徒や関係者がモンゴルに行きました。その報告会が2024年11月に開催されましたので、以下、その報告の内容を動画と記事にてご案内します。
動画
報告
モンゴルでの1週間の柔道交流を通じて印象に残った三つのことをお話しします。
柔道畳と柔道着がもたらす価値
柔道畳の存在は、単なる競技場としての機能を超えた価値を持っていることを感じた。畳があることで、寝転がる、前転する、コロコロ転がる、裸足で飛び跳ねるなど、人間にとって基本的で重要な体の動きが可能となる。これらの動きは、柔道の練習だけでなく、身体発達全般にとって重要な要素となっている。
実際の交流では、言語の壁を超えて、畳のマス目を活用した柔道につながるトレーニングを実施。モンゴルの子どもたちは英語が分からなくても、楽しく体を動かすことができた。
柔道着についても、その重要性を再認識した。通常の服装ではできない動きが可能になり、技の練習において重要な役割を果たしている。しかし、現地では道着の上衣は十分にあったものの、帯やズボンが不足している状況が見られた。
多様な柔道との出会い
国が変わることで、柔道の教え方や実践方法に大きな違いがあることを実感した。特に印象的だったのは、モンゴルの選手たちの試合スタイルだった。相手のどこかをつかんだらすぐに技をかけるという徹底したスタイルは、日本ではあまり見られない特徴的なものだった。
また、モンゴルでは柔道に対する捉え方も異なっていた。例えば、試合後に相手選手から「柔道を愛する一人の女の子」という可愛らしいステッカーをもらうなど、柔道が純粋に楽しいものとして捉えられている様子が印象的だった。日本では時として厳しいものや危険なものとして捉えられることもある中、このような柔道の新しい一面を知ることができた。
将来を考えるきっかけに
この交流は、参加した高校生たちの将来に大きな影響を与える可能性があると感じた。参加した生徒の中には、将来的に海外との関わりを持ちたいと考えている者や、モンゴルの景色の美しさに感動して将来の居住を考える者もいた。
このような小さな経験の積み重ねが、将来の選択に影響を与える。自分自身、大学生のときのイタリア遠征のときの友人とSNSを通じて今でもつながって影響を受けている。
まとめ
モンゴルでの柔道交流は多様な価値を生み出している。柔道畳と柔道着という物理的な道具の重要性、国による柔道の多様性の認識、そして若者たちの将来への影響など、多面的な意義を感じることができた。今後も継続的に交流をしていきたい。