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【活動報告】2023年を振り返って(授業84,参加者1677,先生120)

NPO法人judo3.0は、2023年において、多くの個人や団体と連携して、84の授業やイベントを実施し、120名の皆様に先生として尽力いただき、総計1677名の皆様に参加いただきました。

judo3.0の根幹には、運動・柔道の有するポテンシャルが充分に発揮されていない、そのポテンシャルを開発したらもっと多くの人が幸せになることができるはずだ、という思いがあります。

柔道は200を超える国と地域に広がり、社会体育や学校体育の一つとして世界の教育システムの一端を担っています。上記のポテンシャルを開発することは、これからの社会に対応した教育システムを創造することにつながると考えていますが、どのようにしたら秘められたポテンシャルを開発して、理想に近づくことができるのでしょうか。

様々な方法があると思いますが、改めて整理すると、例えば、地域の柔道クラブで学んだ人々が社会を支えているように、judo3.0も「教育」によって「社会」をよりよくすること、人々の「学びの場」を作ることで理想に近づくことを目指しています。

それでは、judo3.0の「学びの場」にどのような特長があるのでしょうか。

この点、①多様な個人や団体と「協力」して学びの機会をつくり、②その学びの場への参加者が「つながる」ことで新たな学びの機会を生まれる、という循環にあると考えています。

2023年には84の学びの機会が作られましたが、judo3.0単独で作ったものはほとんどありません。120名の人々が先生として知見をシェアしてくださり、各地の個人や団体がイベント開催に協力してくださったことで機会が生まれました。

また、例えば、今年8月と12月に韓国で行われた日韓柔道交流は、オンライン上の勉強会で日本と韓国の柔道の先生が知り合ったことから生まれました。特に、コロナ禍が始まったときオンライン上での学びの機会に注力しましたが、このオンライン上の参加者同士のつながりから、リアルのイベントが多数生まれています。

judo3.0は、人々が共に学ぶことによってつながり、小さな波が大きな波になって、よりよい社会が形作られていくことを願っています。

以下、judo3.0が2023年に作った学びの機会について報告します。

  1. 挑戦者との対話
  2. 発達障害
  3. 幼児・中高年・ろう者
  4. 国際柔道交流

1. 挑戦者との対話

各地に先駆的な取り組みをされている方々がいます。そのような挑戦者のお話を伺い、参加者がオープンにフラットに対話する機会を作っています。

3.0オンラインカフェ

コロナ禍が始まった2020年3月から毎週金曜の夜、誰でも何処からでも無料で参加できる、オンライン上の勉強会・交流会(3.0オンラインカフェ)を開催しています。2023年、以下の通り、3.0オンラインカフェを50回開催し、52名の皆様に先生として登壇いただき、709名の皆様に参加いただきました。

女子柔道
  1. 2023/02/10(金) 小野綾子氏(福 井)「国際柔道交流」
  2. 2023/02/24(金) 柳谷弘子氏(和歌山)「大人から柔道を始めて」
  3. 2023/03/24(金) 川原久乃氏(埼 玉)「女性アスリートの生理」
  4. 2023/04/28(金) 松井陽子氏(岐 阜)「女性アスリートの食事」
  5. 2023/05/26(金) 白川美和氏(長 崎)「女子柔道家のキャリア」
  6. 2023/06/23(金) 瀬古里美氏(三 重)「道場での性教育」
  7. 2023/07/28(金) 内田絋味氏(静 岡)「道場を立ち上げて」
  8. 2023/10/27(金) 栗田愛弓氏(神奈川)「大学女子柔道の魅力」
  9. 2023/11/24(金) 土屋千春氏(新 潟)「育児をしながら指導をして」
部活の地域移行
  1. 2023/1/6 菅野裕之氏(栃木 葵陽塾)「私が葵陽塾を始めた理由-多様性の時代のなか、「柔道」で何をしていきたいか」
  2. 2023/2/3 水見 智織氏(北海道 尚志館當摩道場)「尚志館當摩道場が考える柔道の普及活動」
  3. 2023/4/7 藤原 修一氏(千葉 中学校教諭)「柔道部の地域移行の現状と課題」
  4. 2023/6/2 河井 大介氏(新潟 栃尾柔道倶楽部)「栃尾柔道倶楽部の取り組み-部活とクラブのこれから」
  5. 2023/7/7 小嶋 秀智氏(福井 豊柔道教室)「福井県鯖江市の部活の地域移行」
  6. 2023/10/6 藤野信行氏(神奈川 中学校教諭)「進む!新しい部活動への取り組み【部活の地域移行】」
発達障害
  1. 2023/1/13(金)酒井重義(judo3.0)「10年ぶりの文部省調査「小中学生の8.8%に発達障害の可能性」を読む」
  2. 2023/2/17(金)保護者2名「保護者が語る発達凸凹 -世界自閉症啓発デー」
  3. 2023/3/10(金)浦井重信氏(文武両道の放課後等デイサービスみらいキッズ塾)「なぜ子供の発達に柔道は有効なのか?」
  4. 2023/10/13 (金)酒井重義(judo3.0)「発達障害に配慮された柔道環境を要望したい!」
  5. 2023/11/17 (金)長野敏秀氏(ユニバーサル柔道アカデミー)、浦井重信氏(文武両道の放課後等デイサービスみらいキッズ塾)、酒井重義氏(judo3.0)「200名突破!発達障害に配慮した柔道環境を要望するトークセッション」
  6. 2023/12/22 (金)田邊智彦氏(明武館田邊道場)「発達障害クラスの開設は道場の再生となるか?スポーツ庁の委託を受けた明武館田邊道場の挑戦」
国際交流
  1. 2023/5/19(金)羽生裕司氏(滝高等学校教諭)「コロナ後の柔道国際交流-6年ぶりにハワイに中高生を連れて行きHappy!-」
  2. 2023/6/16(金)深澤新氏「フランス ボルドーで20代の柔道家が約1ヶ月間で学んだこと」
  3. 2023/6/30(金)酒井重義(judo3.0)「世界中の子供達が集う国際大会を開催したい」
  4. 2023/7/14(金)浅沼剛成氏「東南アジア最大の柔道大会 SEA Gamesを語る!」
  5. 2023/7/21(金)鬼一二三氏(カンボジア 国際日本文化学園)「アンコールワットの町の柔道教室」
  6. 2023/8/4(金)酒井重義(judo3.0)「世界中の子供達が集う国際大会を開催したい②」
  7. 2023/9/29(金)楽遊諫早クラブほか「中学生が韓国で柔道をして」
  8. 2023/12/8 (金)辻和也氏(社会福祉法人わらしべ会)「クロアチアで脳性麻痺の子供の柔道を視察して」
挑戦
  1. 2023/3/17(金)金正嘉彦氏(大阪)「市民運動イベントで柔道体験会をやってみて」
  2. 2023/4/14(金)星野力氏(新潟 鳳雛塾&新潟食料農業大学)「新しい柔道大会を実施して」
  3. 2023/6/9(金)竹熊カツマタ麻子氏「竹熊カツマタ麻子氏が「モンゴルに畳を贈りたい!」を説明する」
  4. 2023/9/15(金)川瀬瑞恵氏(Jすてっぷ)ほか「東京2025デフリンピックに向けて柔道体験会を開催したい」
  5. 2023/12/1 (金)川瀬瑞恵氏(Jすてっぷ)「福岡のろう学校で柔道イベントを実施して」
  6. 2023/12/15 (金) 酒井重義(judo3.0)「柔道の魅力を発信するyoutube番組とは?」
読書会・テーマディスカッション
  1. 2023/3/3(金)新刊の感想を共有する会「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」読者6名
  2. 2023/3/31(金)「わざ」を忘れた日本柔道-本を読まずに参加できる読書会-酒井重義(judo3.0)
  3. 2023/4/21(金)「AI時代の柔道と教育を考える」酒井重義(judo3.0)
  4. 2023/8/25(金)長期育成指針を読む
  5. 2023/9/8(金)映画「君たちはどう生きるか」を語る
  6. 2023/10/20 (金)イスラエルハマス戦争を考える
フリートーク

上記の回以外ではフリートークでした。

見逃し視聴の動画31本

3.0オンラインカフェで登壇者でいただいたお話の一部を動画で公開しています。2023年は31本の動画をyoutubeで公開しました。

書籍「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」の制作

judo3.0は2020年から3.0オンラインカフェなどを通じて各地の優れた実践を伺ってきました。そこで、これらの知見を整理して、2023年1月31日、書籍「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」を制作しました。

オフ会

オンライン上で交流をするとリアルでも交流したくなります。2023年は以下の通り、日本各地にいる人々が東京や兵庫に集まってオフ会を開催しました。

  • 2023年1月22日(日)東京
  • 2023年1月28日(土)東京
  • 2023年4月30日(日)兵庫県丹波篠山市 judo studio&cafe TOUYA「大人のための柔道練習会」

出張講座

2023年、以下の通りイベントにお招きいただき、講演を行いました。

  1. 2023/01/18(水)未来の体育共創サミット2023のセッション「 ビデオ会議から旅へ -豊かなスポーツライフは大人から-」で講演(講師:嶋田美和氏(諫早市教育委員会)山岸秀敏氏(稚内地方柔道連盟)酒井重義氏(NPO法人judo3.0)
  2. 2023/10/07(土) 島根スペシャルオリンピック競技会(島根県江津市)で講演「誰1人取り残さない柔道」(講師:酒井重義)

2.発達障害

judo3.0は発達が気になる子が輝く柔道環境づくりに取り組んでいます。

(1)発達が気になる子が輝く柔道の指導法ワークショップ(全国7か所)

2023年は、以下の通り、関係機関の協力のもと、7地域で、指導者等に向けて「発達が気になる子が輝く柔道の指導法ワークショップ」を開催しました。

  1. 2023年3月18日 北海道恵庭市/協力:尚志館當摩道場/主催:judo3.0/講師:酒井重義
  2. 2023年3月19日 北海道釧路市/主催:釧路柔道連盟/協力:judo3.0講師:酒井重義
  3. 2023年3月21日 長崎県諫早市/協力:楽遊諫早クラブ/主催:judo3.0/講師:酒井重義
  4. 2023年3月26日 神奈川県横浜市/主催:judo3.0/講師:酒井重義
  5. 2023年3月26日 大阪県堺市//主催:judo3.0協力:文武両道の放課後等デイサービスみらいキッズ塾/講師:浦井重信
  6. 2023年9月23日 愛媛県松山市/主催:愛媛県柔道協会/協力:NPO法人judo3.0/講師:長野敏秀
  7. 2023年10月22日 岐阜県関市/主催:中濃地区柔道協会/協力:judo3.0/講師:長野敏秀

このワークショップは2018年から取り組んでおり、コロナ禍で中断しましたが、現時点で14都道府県18か所、約30%の都道府県で開催しています。すべての都道府県で定期的に研修が行われることが必要であると考えています。

(2)世界自閉症啓発デープロジェクト

4月2日の世界自閉症啓発デーに関して、2023年、以下の通り、judo3.0は各地の有志の柔道クラブと連携して啓発イベントを実施しました。

この取り組みは柔道関係者に対する啓発であるとともに、社会一般に対して柔道が発達障害のある子供達にオープンな場所であることを発信する取り組みでもあります。2022年から始めており、今回が第2回目となります。

1. 発達に凸凹のある子供が気軽に参加できる柔道体験イベント
  1. 2023/4/2 釧路・釧路柔道連盟
  2. 2023/4/1 苫小牧:尚志館當摩道場
  3. 2023/4/2 神奈川県横浜市・ありんこ練習会
  4. 2023/4/8 新潟県新潟市・白根柔道連盟鳳雛塾
  5. 2023/4/16 新潟県長岡市・栃尾柔道倶楽部
  6. 2023/4/2 長崎県諫早市・楽遊諫早クラブ
2.クラブ内での発達障害についての勉強会
  1. 2023/3/20 長崎県島原市・島原少年柔道クラブ
  2. 2023/3/29 栃木県宇都宮市・葵陽塾
3.オンラインイベント

2023/4/02(日)世界自閉症啓発デー記念ライブ配信イベント

(3)発達障害に配慮した柔道環境を全日本柔道連盟に要望

NPO法人judo3.0は、2023年9月、発達障害に配慮した柔道環境を要望するプロジェクトと立ち上げ、同年10月から11月にかけて賛同者を募り、227名の皆様のご賛同をいただきました。そこで、同年12月20日、全日本柔道連盟に対して要望書と227名のご賛同者名簿を提出しました。

発達障害は子供の約1割が関係する大きな社会課題であり、全国で取り組む必要がある課題です。judo3.0は各地の有志と協力して取り組んでいますが、約30%の都道府県に留まります。そこで統括団体である全日本柔道連盟に要望して発達障害への取り組みを求めました。実際の検討はこれからの課題となります。

(4)中学校・高校の部活動の研修

2023/11/15(水)、山形県教育委員会が主催し、県内すべての中学校・高校の担当者が参加する「いじめ防止・体罰等根絶に向けた運動部活動運営統括責任者研修会」において、運動と発達障害についての講義「いじめ防止・体罰根絶に向けたインクルーシブな部活の作り方~発達障がいを切り口にして~」を行いました(講師:酒井重義)

(5)特設サイトを開設

2023年5月、発達障害と柔道に関するWEBサイト「柔道発達支援プロジェクト」をリニューアルしました。

3.幼児・中高年・ろう者

幼児・中高年・ろう者の柔道に関して、以下の通り、学びの機会を作りました。

1. 幼児の柔道の指導法ワークショップ(東京)

2023/1/28(土)、東京の東京女子体育大学にて、矢冨修子氏(島根・よしじいとしゅうばあのじごろうキッズ)を講師として幼児の柔道指導法ワークショップを開催、17都道府県から38名の皆様に参加いただきました。

2-1.シニア柔道研究会(オンライン)

オンライン上で、中高年の柔道のこれからを検討するシニア研究会を以下のとおり開催しました。

  1. 2023/1/25(水) 第8回研究会・国際セミナーの企画会議
  2. 2023/3/1(水)第9回研究会・国際セミナーの企画会議
  3. 2023/5/31(水)第10回研究会・①国際生涯柔道セミナー(埼玉県立武道館)の開催-川原久乃氏②高齢者向けトレーニングの実際 -吉村太一郎氏③ドイツ柔道の視察-マーヤ・ソリドーワル氏(津田塾大学)
  4. 2023/8/23(水)第11回研究会・①国際生涯柔道セミナー(埼玉県立武道館)の振り返り②柔道けんこう体操を三つの柔道原理(自然体・柔・崩し)から考える-森脇保彦氏③高齢者の転倒予防としての受身の限界について-浅沼 剛成氏④これからの生涯柔道を促進する方法
  5. 2023/11/18(水)第12回研究会・①正しい姿勢を維持できないと転倒時に足が一歩前に出ずケガをする –森脇保彦先生②介護施設での柔道けんこう体操の効果-田中裕之先生(リハビリ型デイサービス あそんでおじゃれ)③女性のための投げない柔道教室(3回)実施報告 – 佐藤康弘先生(釧路柔道連盟)

2-2. 国際生涯柔道セミナー(主催:埼玉県立武道館)

2023/7/31、埼玉県立武道館にて、同武道館らが主催して国際生涯柔道セミナーが開催され、国内外から115名が参加しました。このセミナーは上記のシニア柔道研究会での話し合いがきっかけとなって生まれました。

3. ろう学校での柔道体験会-2025年デフリンピック東京に向けて-

2025年に東京でのデフリンピック開催が決定されたことを受けて、judo3.0は、2023年夏から有志で企画会議を始めました。そして、以下の通り、デフアスリートの佐藤正樹選手をお招きしてお話を伺い、

  • 2023/08/30(水) オンライン講座「デフリンピック東京2025に向けて面白こと考えよう-佐藤正樹選手の話を伺う!」

各地のろう学校で柔道の体験会を開催しようという企画を立案しました。そして、第1弾として、以下の通り、Jステップが主催して、福岡のろう学校で体験会が開催されました。

  • 2023/11/26(日)、福岡のろう学校・「デフ柔道家の佐藤正樹選手による講演&柔道あそび教室」(主催:Jすてっぷ 協力:judo3.0ほか)

4.国際柔道交流

1. 国際柔道交流

2023年、以下の通り、青少年の国際交流が行われました。

  • ノルウェー→兵庫(judo studio TOUYA):2023年1月27日から2月4日:生徒8名、コーチ3名
  • 台湾→東京:2023年7月17日から21日:高校生、中学生、大学生合計17名
  • 日本→韓国:2023年8月23日から26日:福井県鯖江市の中学生と指導者、長崎県諫早市の楽遊諫早クラブの中学生と保護者、指導者、和歌山県の光真道場の指導者
  • 日本→韓国:2023年12月23日から27日:長崎県諫早市の楽遊諫早クラブの高校生・指導者

国際柔道交流は2020年のコロナ禍から中断していました。2023年5月に新型コロナウイルスがいわゆる5類に移行して日常の生活に戻り、国際柔道交流の再開の機運も今年後半から少しづつ高まってきたように思います。

2.日本からモンゴルに畳を贈りたいプロジェクト

judo3.0は、2022年12月、日本からモンゴルに畳を贈るプロジェクトを立ち上げ、有志から中古の畳400枚弱を寄贈いただき、2023年6月、クラウドファンディングによって輸送費用等を多くの皆様から支援いただき、同年8月、神戸港からモンゴルに畳を贈りました。

  • 2023/05/20(土)認定NPO法人JUDOsさまから畳を寄贈をいただき運搬する
  • 2023/6/1(木)クラウドファンディングを開始(目標180万円)
  • 2023/6/30(金)クラウドファンディングが終了(支援者178人・230万1000円(127%達成)
  • 2023/8/2(水)東京や大阪で寄贈いただいた畳を神戸港に運搬する
  • 2023/8/9(水)神戸港を船が出航
  • 2023/9/20(水)モンゴル国ウランバートルの寄贈先の大学に畳が到着
  • 2023/10/29(日)寄贈先の道場で畳が敷かれ道場開きが行われる

2023年12月、畳を贈ることを通じて生まれた日本とモンゴルの関係を活かし、2024年の秋に日本の希望者でモンゴルに行って柔道をするプロジェクトを立ち上げました。2024年1月に説明会を開催する予定です。

最後に

以上、2023年の活動について報告させていただいました。

最初に「運動・柔道の有するポテンシャルが充分に発揮されていない、そのポテンシャルを開発したらもっと多くの人が幸せになることができるはずだ」と述べましたが、このポテンシャルとはどのようなものでしょうか。

一つ目は、柔道が異質な背景や文化をもつ人々との共生と協働を学ぶグローバルな教育として発展することです。

世界はITや交通手段の進歩によって相互依存が深まる一方で、様々な葛藤や対立が起こっています。2022年、2023年に相次いで起こった大規模な戦争は、異なる価値観や文化を持つ人々が地球上で共存し協力するためにはどうにしたらいいのか、現行の教育システムや社会システムの不完全さを再認識させたと思います。

それではどうしたらいいのでしょうか。

この点、オリンピックを創設したクーベルタンは、若者の国際スポーツ交流に世界平和の可能性を見出したと言われています。judo3.0も「異質な人々と一緒に身体を動かす体験」をどれほど多くの子供達に提供することができるか、が未来の教育システムの要点の一つになると考えています。

少年少女が異国で出会い、言葉の壁を超えて柔道を通じて深い絆を築き、別れの際に涙を流す。このような経験が優れた教育であることは昔から知られています。しかし、一部の者にしか提供されておらず、広く子供たちにこの機会を提供しようという取り組みはあまり見当たりません。

二つ目は、柔道が多様な人々を受け入れるインクルーシブなコミュニティに発展することです。

様々な研究から、人の発達や健康に与える運動の優れた効果が明らかになっています。しかし、便利な社会を築いた反動で多くの人々が運動不足となり、子供達の体力は低下し、生活習慣病・精神疾患・認知症などが増加しています。

またコミュニティへの参加や社会とのつながりは人の幸福や健康に不可欠ですが、病気・障害・不登校・ひきこもり・失業など様々な事情で、多くの人々が居場所を失い、困難や生きづらさを抱えています。

本人に適した形で柔道をすることができ、コミュニティに参加することができたら、多くの人々がもっと良い状態になるはずです。しかし、現在の日本の柔道環境は、主に健常の青少年が中心となっており、中高年や障害がある人々、女性などが参加しにくい状況になっています。

三つ目は、柔道がキャリア教育として、そして知育、徳育、体育を兼ねた総合的な「人間教育」として発展することです。

嘉納治五郎先生は「正しい方法で柔道の修行をすると、仕事もよくできるようになる。だから柔道は社会的に価値があるのだ」と述べていたと言います。「柔道は人間教育」と言われ、畳の上での稽古は社会の中で生きることに役立つと言われています。

それではどうしたらその教育効果を高めることができるのでしょうか。これは「教室で習ったことを社会に活かせるのか?」という学校にも共通する問題ですが、例えば、学校ではアクティブラーニングやプロジェクト学習、インターンシップ、オンライン教育の活用など様々な改革が行われています。柔道についても人間教育機関としての進化が求められていると考えています。

judo3.0は2015年1月から活動を始め、今年で9年目、2024年には10年目を迎えます。

2015年に開設したfacebookページ名は「柔道→世界一の学校!」でした。

柔道のポテンシャルが開発され、地域の柔道クラブや柔道部が「世界一の学校」と評される未来を夢見ながら、judo3.0は学びの場を皆様と共に築いていきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

酒井重義(NPO法人judo3.0代表)

judo3.0の理想について参考記事

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対象別の授業・参加者・先生数

対象場所授業参加者先生
国内-大人オンライン62120985
リアル1634423
国内-青少年リアル1621
国際-大人オンライン1170
国際-青少年リアル44511
合計841677120

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