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未来の発明

書籍「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」を出版

日本から柔道がなくなってしまう。
そんな不安を感じることはありませんか。

19都道府県と海外1か国にわたる35のクラブや指導者を独自取材
これからの日本に必要とされる柔道のカタチ、魅力や可能性を描きました。

書籍「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」は各地の先進的な取り組みを18の記事で紹介・分析して、柔道の新しい魅力や可能性、これから目指す場所を描いた本となります。以下、詳しくご案内させていただきます。

  1. 書籍の「はじめに」を全文公開
  2. 書籍の目次
  3. 書籍の編著者・取材協力者
  4. 編著者から読者の皆様へ
  5. 購入方法・特典
  6. NPO法人judo3.0から
  7. 書籍「発達が気になる子が輝く柔道&スポーツの指導法」のご案内

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1.書籍の「はじめに」を全文公開

日本から柔道がなくなってしまう。
そんな不安を感じることはありませんか。

大会に行くと、以前は会場に選手が溢れ、夕方まで試合が続いていたけれども、今はガランとして会場の広さが目立ち、午前中に試合が終わってしまう。気が付くと学校に柔道部はなく、町道場に来る子供は年々少なくなっていく。

国内の柔道登録人口はこの30年で約13万人も減り、2022年は約12万人となりました。これから30年後にはどうなってしまうのか、途方に暮れてしまう。

この危機は関係者に認識されていると思いますが、これから具体的に何をしたらいいのか、どこに向かったらいいのか、まとまった情報はなかなか見当たりません。

もっとも、人知れず、これまで柔道が届かなかった人々に柔道を届けている挑戦者がいます。
NPO法人judo3.0は2016年からオープンな学びの場を運営して、数多くの挑戦者のお話を伺ってきました。本書はその挑戦者の取り組みにスポットライトを当て、そこから見えてくる「誰一人取り残さない」柔道の魅力を紹介するものです。

第1章では、「受身」と「遊び」という切り口で子供との接点を広げる取り組みを見ていきます。外遊びをする環境が失われ、子供の成育環境が悪化しています。これらの取り組みから、いまの子供達がどのような状況に置かれ、何を必要としているかが見えてくるでしょう。

第2章では、発達に凸凹(でこぼこ)のある子供の柔道を見ていきます。2022年12月に公表された文部科学省の調査によると、発達障害の可能性がある小中学生が8.8%、約80万人います。彼ら彼女らが柔道で成長していく様子を見たら、凸凹の子供の発達を支える柔道に大きな可能性があることに気付くでしょう。日本の柔道がこのまま縮小するか、それとも盛り返すかの分岐点の一つは、「柔道は凸凹の子供の発達に良い」という実績と評判を組織的に築くことができるか否かにあると考えています。

第3章では、女性であったり、年を重ねていたり、ケガや病気があったり、障害があったりする人々、すなわち若くて健康な男子「以外」の人々の柔道を見ていきます。柔道は主に若くて健康な男子に向けて作られてきました。しかし少子高齢化が進み、6歳から22歳までの男子が全人口に占める割合は8%弱にすぎません。90%以上の人々に適した柔道のカタチは未だ十分に開拓されていない、ここにフロンティアがあることに気付くでしょう。

2015年の国連サミットで、2030年までに達成すべき人類共通の目標(SDGs)が定められ、「誰一人取り残さない」がその理念となりました。日本の柔道の未来は、地球の未来と同じく、誰一人取り残さない柔道に挑戦することによって切り開かれていくと信じています。編著者一同

2. 書籍の目次

はじめに

第1章 「受身」と「遊び」が柔道を広げる

  1.  「月間250名以上の幼児に受身と礼法を贈る」矢冨修子氏(島根県益田市 よしじいとしゅうばあのじごろうキッズ)
  2. 柔道の先生が「遊び場」を作った理由」長田康秀氏(福井県あわら市 ゲンキッズステーションASOVIVA!)
  3. 遊びと幼児を考える」小野綾子氏(福井県福井市 福井工業大学附属中学校高等学校女子柔道部監督) 長野敏秀氏(愛媛県四国中央市 ユニバーサル柔道アカデミー) 星野 力氏(新潟県新潟市 新潟食料農業大学柔道部監督)
  4. 「受身」は他団体で、「遊び」は自団体で活用する」稚内柔道スポーツ少年団・田布施町柔道スポーツ少年団・ありんこ練習会・栃尾柔道倶楽部・岐阜県柔道協会・釧路旭町柔道少年団・志茂柔道クラブ・心結館・安曇野市柔道クラブ・芸濃柔道クラブ・諫早市柔道協会・久保田浩史氏・尾鷲柔道スポーツ少年団

第2章 発達凸凹の子供に柔道を届ける

  1. 柔道クラブに平均2.2名の発達凸凹の子供がいる」西村健一氏(島根県立大学准教授)
  2. 「褒める」と「間を取る」が自分と生徒を変えた髙山征樹氏(石川県 内灘町少年柔道教室)
  3. 柔道で変わっていく凸凹の中学生に魅せられて」向井淳也氏(長崎県諫早市 楽遊諫早クラブ)
  4. 福祉サービスとしての「柔道療育」の可能性小崎香菜氏(鹿児島県鹿屋市 放課後等デイサービス笑光)
  5. 柔道で凸凹の子供の姿勢を良くして居場所を作る」浦井重信氏(大阪府堺市 文武両道の放課後等デイサービスみらいキッズ塾)
  6. 発達障害を学んだら指導へのやる気がさらに湧いてきた」少年柔道クラブ指導者2名

第3章 若くて健康な男子「以外」の人々の柔道を開拓する

  1. 【女子】思春期の女子の心と身体を守るために」川原久乃氏(埼玉県女子柔道振興委員会)
  2. 【中高年】柔道を楽しむ大人を増やそうとするドイツの試みマーヤ・ソリドーワル氏(津田塾大学准教授)
  3. 【高齢者】介護施設で「投げない柔道」を導入して」浅沼剛成氏(東京都八丈島 リハビリ型デイサービスあそんでおじゃれ)
  4. 【ケガ病気】ケガや病気はとても苦しい。でも柔道をあきらめないでほしい」柿本聡氏(長野県安曇野市 安曇野市柔道クラブ)
  5. 【精神疾患】柔道でメンタルヘルスと対人スキルを良くする」河野茂照氏(島根県浜田市 社会医療法人清和会西川病院 作業療法士)
  6. 【障害】社会にある障害を取り除く人々」わらしべ会・光真道場・河芸柔道クラブ・名古屋介護系柔道部・ユニバーサル柔道アカデミー島根・志茂柔道クラブ・フジ柔道クラブ
  7. 【コミュニティ】部活の地域移行から誰一人取り残さないクラブ作りを

終章

これから取り組む社会課題と変化を起こす方法

編集後記

3. 書籍の編著者・取材協力者

編著者

酒井重義
特定非営利活動法人judo3.0代表理事。宮城県女川町在住。東北大学法学部・同大学大学院法学研究科博士課程前期修了、都内で弁護士として活動後、社会をより良くするポイントは「運動」と「つながり」を軸にした教育や福祉の再構築にあるとの認識に至り、福祉系ベンチャー企業での勤務、運動療育を提供する福祉施設の運営などを経て、2015年1月、judo3.0の活動を開始。少年柔道クラブの指導者。

西村健一
島根県立大学准教授。専門は特別支援教育学。公認心理師。臨床発達心理師スーパーアドバイザー。発達障害の研究者で、認知や行動に関する論文を多数発表している。著書に「子どもが変わる!ホワイトボード活用術(見る・聞く・書く・話す・参加するために)」読書工房(2017/11/30)(共著)などがある。少年柔道クラブ及びスペシャルオリンピックス日本柔道プログラムの指導者。

取材協力(県別)

本書籍は、匿名での協力者を含めて、以下の通り、19都道府県・海外1か国にわたる35のクラブ指導者に取材協力いただきました。

北海道:稚内柔道スポーツ少年団・釧路旭町柔道少年団
埼 玉:埼玉県女子柔道振興委員会
神奈川:ありんこ練習会
東 京:リハビリ型デイサービスあそんでおじゃれ・志茂柔道クラブ・津田塾大学准教授・東京学芸大学准教授
新 潟:新潟食料農業大学柔道部監督・栃尾柔道倶楽部
石 川:内灘町少年柔道教室
長 野:安曇野市柔道クラブ
岐 阜:岐阜県柔道協会
静 岡:心結館
愛 知:名古屋介護系柔道部
三 重:河芸柔道クラブ・芸濃柔道クラブ・尾鷲柔道スポーツ少年団
福 井:ゲンキッズステーションASOVIVA!・福井工業大学附属中学校高等学校女子柔道部監督
大 阪:文武両道の放課後等デイサービスみらいキッズ塾・社会福祉法人わらしべ会
和歌山:光真道場
愛 媛:ユニバーサル柔道アカデミー
島 根:よしじいとしゅうばあのじごろうキッズ・島根県立大学准教授・社会医療法人清和会西川病院・ユニバーサル柔道アカデミー島根
山 口:田布施町柔道スポーツ少年団
長 崎:楽遊諫早クラブ・諫早市柔道協会
鹿児島:放課後等デイサービス笑光
クロアチア:Judo klub osoba s invaliditetom Fuji

4. 編著者から読者の皆様へ

柔道人口の減少の実態

関係者の皆様にとっては周知の事実ですが、日本の柔道登録人口は減少し続けています。

日本の柔道登録人口は、2022年3月1日に公表されたデータによると、2021年時点で12万2184人でした。

2009年から2019年の10年を見ると平均して毎年5000人弱も減少しています。そして、2020年はコロナ禍のため1年間で約2万2000人も減少し、2021年はその大幅な減少を取り戻すことができず、650名の微増となりました。

これからどうなるのか、コロナ禍が少し落ち着いてきたので柔道を始める方が増えるのか、それともコロナ禍になる前のように年間5000名弱のペースで減り続けるのか、分かりません。ただ、万が一、今後も年5000名のペースで減少してしまうと、25年でゼロになってしまいます。

さらに、市区町村レベルで見ると、状況はもっと深刻です。例えば、ある過疎化の進む市では、2018年から2022年の5年間で柔道登録人口が34%も減少したそうです。コロナ禍の影響が大きいと思いますが、万が一、このペースでいくと10年でゼロになってしまいます。

少子化で子供が減少している影響があると思いますが、この急激な減少は少子化の影響だけではありません。ある県において「そのときの子供の総数の何%が柔道クラブや柔道部に加入したか」という点を調査した研究によると、最盛期は子供が1000人いたら15人が柔道を始めていたのですが、いまは7名であることが判明したそうです。これは少子化と関係なく、昔と比較すると、柔道を始める子供が約半分になったことを意味しています。

「柔道の発祥国である日本から柔道がなくなってしまうのではないか。不安だ」

これは10年以上前ですが、日本によく来る海外の柔道の先生がつぶやいた言葉です。日本の柔道クラブを訪れるたびに柔道をする人々が少なくなっている、そのことを感じての発言でした。それを聞いたとき「そんな大げさな」と思いましたが、昨今の状況をみると、あながち大げさとはいえないと思い、不安を感じてしまいます。

本書ができるまで

それでは、これからどうしたらいいのでしょうか。

筆者らにその原因や対策を総合的に分析提案する力はありません。ただ、NPO法人judo3.0は、数多くの挑戦者のお話を伺ってきました。2016年から東京や大阪で年2回以上フォーラムを開催、コロナ禍となった2020年からは毎週オンライン上の勉強会を開催しており、300名以上の有志の皆様のお話を伺っています。

筆者らはその取り組みを分析するなかで、取り組みの多くに共通する理念として「誰一人取り残さない」という想いがあること、そして、これまで柔道が届かなかった人々に柔道を届ける取組みを3つの視点で分類できることに気が付きました。

このような経緯を経て、本書「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」ができました。本書には以下のような効果があると考えています。

  • これから日本の柔道がどこに向かったらいいのか、具体的に考えるきっかけを得ることができる
  • 柔道人口が増える可能性のある取り組みは何か、を知ることができる
  • 新たな柔道の魅力や可能性を知って、生徒に対してこれまで以上に柔道の素晴らしさを伝えることができる
  • 柔道をどのように生活に活かすのかその選択肢が広がり、柔道のある生活をさらに豊かにすることができる

対話の活性化

さらに筆者らには、本書を通じて、対話を活性化させたい、という想いがあります。

コロナ禍の約3年間、毎週オンライン上で様々なゲストのお話を伺い、参加者と話し合いをしてきました。この勉強会にはのべ5000名以上の皆様に参加いただきましたが、一つ奇妙なことに気づきました。多くの関係者が柔道人口の減少を認識し、危機感をもっています。しかし、柔道人口の減少について、そして、これからの柔道について、オープンに「これからどうしようか?」と話し合った形跡があまり見つからないのです。

各所で、原因や対策を考え、対策を講じて、その対策が上手くいったのか、上手くいかなかったのかを検証し、改善して、という取り組みがあると思います。しかし、オンライン上の勉強会で数多くの参加者と接した限りでは、いま各所でどんなことを行われているか、これから何をしたらいいか、情報があまり共有されておらず、「何かしたいけれども、何をしたらいいか分からないし、そもそも話す機会がない」というフラストレーションがあるように思いました。

状況は複雑です。少数の専門家でどうにかなるような課題ではなく、各地の有志が様々な視点で話し合い、試行錯誤しながら、新しい協力関係を築いていくことが求めらているように思います。いま必要なことは、立場に関係なく、「これからどうしようか?」という話し合いが各所で行われることだと考えています。本書が示した方向や視点は一つのアイデアにすぎません。もっとも、本書に収録されている一つ一つの取り組みは机上の空論ではなく、実際に実行されたものなので、具体的で説得力があると思います。具体的な事例をもとに話し合えば、話し合いも具体的になると思います。本書が一つのきっかけとなって、多くの人々が「これからどうしようか?」と話し合うようになったら本当にうれしいです。

5. 本書の購入方法・特典

書籍はA4サイズで62頁、定価は1100円(税込)となります。

judo3.0オンラインショップ、またはアマゾンから購入いただけます。電子書籍(キンドル)もあります。

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6. NPO法人judo3.0から

本書は自団体で手作りした本であり、書店に並ぶ本ではありません。読者の皆様からの発信がなければ、人目につくことがない本です。本書を手にとって参考になると思ってくださったら、SNSでの発信や本書をテーマにした勉強会の開催など、口コミを広げていただけたらありがたいです。

7. 書籍「発達が気になる子が輝く柔道&スポーツの指導法」のご案内

本書では「柔道人口が増える3つの視点」の一つとして「発達凸凹の子供に柔道を届ける」を上げています。より詳しく知りたい場合は、書籍「発達が気になる子が輝く柔道&スポーツの指導法」をご覧ください。発達障害と柔道という点では、書籍「発達が気になる子が輝く柔道&スポーツの指導法」は基礎編、本書「誰一人取り残さない柔道 柔道人口が増える3つの視点」はその応用編となります。