【コラム】2020年の柔道人口-全体で2万人(15%)減少, 小学生は20%も減少、しかし増えている地域あり-
全日本柔道連盟さまのウエブサイトに2020年の登録者数などの資料が掲載されていましたので今回はこちらを見ていきたいと思います。
<参照した資料>
登録会員数推移について(2021年3月1日現在)
2020年度県別・区分別登録会員数(前年度との比較)
概要:2万人(15%)減
前年と比較すると、柔道の登録人口が約14万人から約12万人に(15%減)、登録団体が、約8300団体から7600団体に(8%減)になっています。
<登録者数>
2019年 143,549
2020年 121,532
→ 22,017人減少
<登録団体数>
2019年 8,325
2020年 7,627
→698団体減少
前年比の登録人口の内訳
登録者数の減少の内訳をみると
個人種別 | 2019年 | 2020年 | 前年比(人数) | 前年比(%) |
指導者+役員 | 21654 | 20062 | -1592 | -7% |
社会人 | 25853 | 21997 | -3856 | -15% |
大学生 | 11227 | 9117 | -2110 | -19% |
高校生 | 20232 | 17613 | -2619 | -13% |
中学生 | 29149 | 24702 | -4447 | -15% |
小学生 | 33730 | 26838 | -6892 | -20% |
未就学児 | 1680 | 1179 | -501 | -30% |
休会員 | 24 | 24 | 0 | 0% |
合計 | 143549 | 121532 | -22017 | -15% |
人数で比較すると、「小学生」が6892名減と最も減少しており、次に「中学生」(4447名減)、「社会人」(3856名減)、割合で比較すると、①「未就学児」(30%減)、②「小学生」(20%減)、③「大学生」(19%減)、④「中学生・社会人」(15%減)となっています。
コロナ前までは小学生より中高生の登録人口の減少幅が大きかったと思いますが、コロナ禍の2020年は小学生に最も大きな影響があったと言えるかもしれません。
登録団体の内訳
次に登録団体数の減少の内訳をみると
団体種別 | 2019年 | 2020年 | 前年比(人数) | 前年比(%) |
一般 | 2554 | 2457 | -97 | -4% |
大学・専門学校 | 342 | 303 | -39 | -11% |
高校・高専 | 1990 | 1774 | -216 | -11% |
中学校 | 2237 | 2047 | -190 | -8% |
少年(中学生以下) | 638 | 561 | -77 | -12% |
少年(小学生以下) | 564 | 485 | -79 | -14% |
合計 | 8325 | 7627 | -698 | -8% |
団体数で比較すると、最も減少しているのは「高校・高専」で216団体が減少、次に「中学校」(190団体減)となっており、割合で比較すると、平均8%減のところ、「少年(小学生以下)」が14%が最も減少しています。
登録人口が増えている(又はあまり減っていない)都道府県
全柔連様のウエブには、都道府県別の登録数も掲載されており、前年と比較して、どの都道府県でどれぐらいの人数の増減があるかが掲載されています。全体的に登録者数は減少していますが、地域別でみるとさほど減少していなかったり、増えていたりする都道府県があります。
以下、「〇〇県 △%」とあるのは、その県の前年と比較した人数の増減を表しています。「90%」なら前年と比較して10%減少した、「110%」なら前年と比較して10%増加したことを表します。
小学生
岩手県 99%
香川県 99%
新潟県 94%
福井県 93%
岐阜県 91%
宮崎県 91%
山形県 91%
長野県 90%
小学生は全体では前年比20%も減少しています(47%も減少した地域もあります)。増えている都道府県は見当たりませんでしたが、上記の都道府県は1~10%程度しか減少しておらず、減少幅が最も少ない地域でした。
中学生
徳島県 126%
長崎県 101%
秋田県 101%
中学生は全体では前年比15%減少していますが(29%も減少した地域もあります)、上記の都道府県では増えています。
高校生
鳥取県 107%
佐賀県 105%
青森県 101%
高校生は全体では前年比13%減少していますが(23%も減少した地域もあります)、上記の都道府県では増えています。
大学生
三重県 190%
宮崎県 162%
長崎県 138%
愛知県 111%
大分県 109%
千葉県 105%
大学生は全体では前年比19%減少していますが(74%も減少した地域もあります)、上記の都道府県では増えています。
社会人
千葉県 116%
岩手県 114%
島根県 109%
茨城県 106%
神奈川県 106%
佐賀県 102%
社会人は全体では前年比15%減少していますが(56%も減少した地域もあります)、上記の都道府県では増えています。
最後に
コロナ禍でも登録人口を増やしていたり、減少を最小限にとどめている地域は、なぜそのようなことができているのでしょうか?
当然ながら地域ごとにコロナ禍の影響が異なるという要因がありますが(感染者数の多い大都市のほうがコロナ禍の影響が大きいと推測される)、ほかにも何らかの理由があり、他の地域が参考になる取り組みがあるケースがあるのではないかと思います。なぜその地域はうまくいっているのか、それぞれのベストプラクティスを他の地域の人々が共有できるようになったら、コロナ禍での柔道普及に役立つのではないかと思いました。