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【書籍紹介】フランス柔道とは何か( 2022/6/23発売!)

「フランスの柔道は〇〇だ」ということをよく耳にします。

-フランスは日本より柔道人口が多い
-フランスの先生は柔道で生計を立てている
-フランスでは柔道事故が少ない

などなど。でも、本書を読んだら、

フランスで柔道で生計を立てている指導者は25%

とかあって、「えー、そうだったの」という驚きポイントがたくさんでした。

すごい!と思ったのは、それぞれの時代のフランスの柔道の先生方が、柔道連盟という組織を通じて、何をしてきたのか、その結果、どうだったか、というところで、なかでも、

誰に、何を、どんな順序で、どのように教えるか?

1967年という早い段階に、ここを話し合って段階的な学習プログラムを作り、以降、研究・改善を続けて、1990年にフランス式の学習プログラムを確立したプロセス。

教育として考えられる最高レベルで、誰に、何を、どんな順序で、どのように教えるか? が細かく定められているそうで、どこの柔道クラブに行っても、一定水準以上の質の高い柔道教育を受けることができる(多分)、というのはすごい。

ここに至るまで、どんな風に取り組んできたか、ある取り組みを巡って連盟が分裂したとか、別のことをきっかけに分裂が解消されたとか、社会がいろいろ変わるごとに、フランスの先生方が試行錯誤してきた様子が描かれています。

また、日本の「道」と言われる、技の修練によって人格陶冶を図ろう、という考え方をみながら、日本の柔道教育の内容はなんだったのか、とか、中体連が全国大会にどのように取り組み、少年規定がどのようにしてできたのか、など、日本の事情を知ると、課題や条件、背景がいろいろ異なることから、フランスの取り組みをそのまま日本に導入できないことも分かり。

judo3.0の3.0オンラインカフェなどでも、日本の柔道、これからどうしたらいいか?という点が話題に上がりますが、知識が少ない中での話し合いなので、なかなか議論が深まりません。

この点、本書を読むと、フランスの柔道の先生が協力して何をしてきたか、その結果、どうだったかを知ることができ、そして、日本の柔道の論点を知ることができるので、日本の柔道が何をしたらいいか、これまでより具体的に議論ができるようになると思いました。

たくさん学ばせていただいた分、いろいろ疑問やモヤモヤができたので、「フランス柔道とは何か」を3.0オンラインカフェで読書会を開催したいと思うので、読まれた方、ぜひご感想をお伺いさせてください。

本について出版社から

紹介

フランスは柔道の強豪国として知られている。オリンピックでのメダル獲得数も多く、その高い競技力と競技人口の多さ、事故の少なさなどから、日本で柔道先進国として紹介される。だが、イメージで語られることが多く、フランス柔道の実態や教育との関わりは日本でほとんど知られていない。

本書ではまず、フランス柔道の現在を紹介する。柔道クラブのエピソードからひもとき、競技人口や指導者数などの実情、学校教育や課外活動との関わり、フランススポーツ界での柔道の位置づけを丁寧に概説する。そのうえで、日本の講道館柔道とはまた違った柔道を確立した歴史的な歩みをたどり、洗練されてきた指導法や昇段試験などの制度、教育方法も通時的に検証する。

日本における柔道と教育との関係を確認したうえで、日仏を比較し、教育を基軸にするフランス柔道のありようと日本の柔道が抱える問題点を明らかにする。

目次

まえがき 中嶋哲也/星野 映
第1部 フランス柔道の現在
第1章 二つの柔道場からみるフランス柔道 星野 映/磯 直樹
1 柔道人口
2 なぜ柔道に人気があるのか
第2章 フランス柔道の組織概要 星野 映
1 統括連盟と登録者数
2 フランスの柔道指導者の実際
3 色帯と昇段試験
第3章 現代フランスの学校教育と課外活動――スポーツの場合 小林純子
1 学校とスポーツ
2 EPSと柔道
3 学校スポーツと柔道
4 学校外活動としての柔道とその課題
第4章 現代フランス社会とスポーツ 磯 直樹
1 「スポーツ」の定義
2 スポーツと社会
3 二十世紀後半のフランスと公的なスポーツ組織
4 市民社会とスポーツ
5 現代フランスのスポーツ競技人口
第2部 フランス柔道の教育システムの成立
第5章 フランスにおける柔道の確立 星野 映
1 川石酒造之助とポール・ボネ=モリ
2 フランス柔道、最初の分裂と統合
第6章 フランス式柔道の統一 星野 映
1 新たな分裂とオリンピック
2 フランス柔道の改革
第7章 フランス柔道と教育の接近 星野 映
1 一九七〇年代のフランス柔道の課題
2 競技偏重と登録者数の停滞
第3部 フランス柔道の教育観――日本柔道との比較を通じて
第8章 日本の伝統文化と柔道教育の矛盾 有山篤利
1 問われる柔道教育の存在意義
2 現代の武道教育の矛盾
3 柔道教育のオリジナリティー
第9章 戦後日本における柔道の大衆化と高度化――全国中学校柔道大会の歴史を中心に 中嶋哲也
1 体罰・しごきのメカニズム
2 スポーツ化としての事故防止
3 全中と大衆化
4 柔道事故と技の規制
5 強化委員会と全中
6 少年規定が意味するもの
第10章 柔道教育からみたフランスと日本 中嶋哲也/有山篤利/星野 映
1 FFJDAの施策
2 実践者への対応
3 部活動・オリンピック・根性
4 日本柔道界の対策
あとがき 磯 直樹

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