宮城県女川町はいま雨が降っています。judo3.0の酒井です。

活動

昨日は、21時から22時までの1時間、ウエブ会議にて、来月に和歌山県で受け入れるポーランドの柔道チーム(少年&指導者19名)についての打ち合わせを実施。

7月24日(火)、和歌山大学柔道部の道場をお借りさせていただき、和歌山市内の柔道クラブや学校柔道部のみなさまにお声がけさせていただき、合同稽古&国際柔道交流を行う予定です。当日の開始時間やスケジュール、内容などを話し合いました。

彼らは、7月17日に関西空港に到着し和歌山県由良町に移動、7月28日まで和歌山県に滞在、その後東京にいきます(前半は由良町、後半は和歌山市)。

和歌山の子どもたちがポーランドの子どもたち、大人たちと柔道を通じて親しくなり、「彼ら彼女らの国にいってみたい」と思ってほしい。それは昨日ブログに書いた「興味」を育むということです。

これからの教育で大事なことは「興味」や「関心」を育むこと。「この知識を覚えてください。テストします」といえば、知識や情報処理能力を上げることはできるけど、「興味」を育むことは難しい。

自分と異なるバックグランドを持つ人と親しくなること、ここから未知の何かに触れて、興味関心がうまれる。

柔道は、異なるバックグランドをもつ人と親しくなる力があります。

どうやったら子供達の興味関心、非認知能力を育むことができるか、ということが世界の教育の課題ですが、柔道はその力がある。

将来「世界中の人と仲良くなりたいから柔道を始めました」

と答える子どもがたくさん出てきてほしい。

そのための方法は、子ども達の身近にいる大人がそんな経験をもっていること。いま私たち大人が挑戦することが求められていると思うのです。

ニュース

昨日、北海道、稚内南部柔道スポーツ少年団の稽古の様子のムービーがアップされました。楽しそう!

ムービーでは、指導者の三上先生が「以前は試合に勝つため厳しい稽古をしていた。しかし、勝てない子や燃え尽きた子が辞めていく。だから楽しみながら長く続けるという指導方針に変えた」とお話されています。

厳しい稽古がいいのか、楽しい稽古がいいのか、とか、勝たないといけない、いやいやプロセスを大事だ、とか様々な意見が交わされます。どちらも子供達の成長を願っている点で同じなのですが、なぜか意見が違ってくる。

「どんな機会が子どもたちの成長を導くのか?」

約2年前、このムービーに登場されている三上先生にお会いさせていただきましたが、そのときこの問いを考えてみました。

「勝利・成功体験モデル」vs「多様性・継続つながりモデル」

以下は当時の投稿のコピペです。


日本の最北端の市、稚内市の稚内地方柔道連盟・稚内南部柔道スポーツ少年団、三上 雅人先生にお会いさせていただきました!

稚内(=通称「てっぺん」)の柔道スポーツ少年団は、なんと、

(1)幼稚園児から、小中高生、大学、社会人から保護者まで、様々な世代の人々が集うコミュニティで、

(2)継続することが大事にされており、大人になっても継続できる環境が作られていること。

(3)その結果、メンバー、柔道人口が増えていて、幼稚園児から小中学生だけで約50人まで増えた、

とのこと。

取り組みがとても革新的だと思ったので、以下、少々乱暴かもしれませんが、単純化して、その革新的だと思った理由を敷衍していけたらと思います。

一般的に、柔道に限らず、スポーツで人が成長するプロセスのイメージは、

稽古する→試合で負ける→稽古を頑張る→試合に勝つ→自信を得る

というように

「頑張ったら試合に勝った」という「成功体験」が中核の一つにあるように思います。

これを、便宜上、「勝利・成功体験モデル」といいます。

しかし、みんながみんな勝てるわけではないのが現実。

さて、ここから選択肢は二つに分かれます。

「勝利・成功体験モデル」をさらに追求していくか、別のモデルを選ぶか。

「勝利・成功体験モデル」を追求するとは、例えば、

・より多くの試合をして、よく多くの子どもたちに「成功体験」を提供していく。
・より厳しい指導をして、(稽古についてこれた)より多くの子どもたちに「成功体験」を提供する、

などなど。

どうしても、このモデルは、傾向として、少数精鋭になりがち。

近年、「競技偏重」により柔道人口が減った、ということが言われていますが、もしそれが事実であれば、より多くのこどもたちに勝利という「成功体験」をさせてあげたい、という関係者の想いの結果なのでは、と推測します。

さて、それでは、この「勝利・成功体験モデル」を選ばないとしたら、どのようなモデルがあるでしょうか?

現在は、競技偏重はダメだが、競技そのものをうまく活用することが大事、というバランスのいい結論だと思いますが、

「勝利・成功体験モデル」であることは変わりなく、

試合での成功体験以外にいったい何が人の成長を導くのか?、が明らかになっていないように思います。

試合がなくても子供が成長するモデル。
みんなで大会での勝利を目指して頑張る、ということがなくても子供が成長するモデル。

今回、三上先生から伺った、「てっぺん」の取り組みが革新的だと思った点は、この新しいモデルを示してくださっているように思えたから。

仮に名付けるとしたら「多様性・継続つながりモデル」とでもいうべきもので、

ポイントは、

(1)年齢や価値観など、多様な人々が集うコミュニティをつくる。
(2)そこに子どもたちが、長期間、継続的に関わる。
(3)多様な人々との長期的な関わりを通じて子どもたちが成長する。

というもの。

「てっぺん」では、

(1)小学生のみならず、中学生、高校生、大学生、柔道経験のある社会人、さらには保護者も参加して一緒に稽古をしている。(幼稚園、小学生、中学生だけで50人近くおり、さらに高校生、社会人、保護者が一緒に稽古に参加する)

(2)「継続」がもっとも大事だと話しており、実際に「継続」できるし、継続している人と接する環境にある(社会人や保護者と一緒に稽古している)

(3)この多様な世代の人々と長期間関わる環境、これこそが「社会」の環境であり、この「多様性」あるコミュニティ(擬似「社会」)のなかで「継続」することができたら、「実社会」でも活躍できる素養・能力が身につく。さらに、この多様な人々と柔道以外の活動も一緒にすることで見聞を広める。

という考え。

「試合での勝利」より、「多様な人々と継続的に交流する」環境を提供することで、子供達の成長を図ろうとするものです。

実は、この「てっぺん」の取り組みは、政府が次世代のスポーツ教育のあり方として進めている「総合型地域スポーツクラブ」の理念そのまま。
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/club/index.htm
http://www.japan-sports.or.jp/local/tabid/67/Default.aspx

理念はいいが実現困難と一部で批判されたものが、実際にカタチになっているのを伺い、びっくり。

さて、三上先生に何故このような取り組みをなさっているのか、伺ってみたところ、

人口の減少が進む、3万人強の小さい稚内市において、どういう柔道クラブが求められているのか?を探求したそうです。

その探求の結果、得られた方針は、

・柔道に関わる人を増やす。
・柔道やってよかった、と思う人を増やす。

というシンプルなもの。

そして、この方針から柔道の指導方針を考えたとき

・大人、保護者を巻き込む
・関わる人みんなが「いい運動した!」と思えるプログラムが大事
・特に、なかなか上達しない子どもがそう思うことが大事

ということをやってきたそうです。

そして、その目的、方針を実行していったら、試合で勝つ、ということの優先順位が下がっていき、他方、メンバー、地域の柔道人口が増えたということ。

柔道をきっかけにして多様な人々と接すること、見聞を広めることが大事だと考えている三上先生は、ロシアの柔道家と交流されたご経験もあり、子どもたちの国際柔道交流は大きく見聞を広めるだろう、とのこと。

たくさんの学びと気づきをいただきました。ありがとうございました!そして、この場をコーディネートくださった吉田 悟志先生、ありがとうございました!


以上です。

あと、いま、もうひとつ素敵な動画を見つけたのでこちらも。
「「子どもたちの“声”を見いだすのが自分の使命」―アメリカで、子どもたちの個性を生かした合唱団を率いる日本人がいます。指導を受けると、自信のなかった15歳がみるみるうちに…」という動画。

#新しい公教育を創造する#judo3
酒井

世界中に100人の友達ができる教育を!