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指導者と生徒が織りなす一種のエンターテイメント!(特集「紀柔館」第2回)

編集部です。柔道教育の未来を切り開くjudo3.0のウエブマガジン、2回目の発行となります!今回も引き続き、和歌山の柔道学習塾・紀柔館の特集。第2回は三重県津市にある河芸柔道クラブ代表、柴田聖先生による訪問レポートです!


紀柔館訪問記( ̄^ ̄)ゞ

2015年も残りわずかとなりましたが、今年1番の収穫を得ることができました!︎

《きっかけ》

全国の柔道指導者宛に『まいんど』という全柔連発行の雑誌が定期的に送られてきます!今月号は全国の道場にスポットを当てた特集が組まれており、文武両道型の道場運営をシステム化されている和歌山県の『紀柔館』が掲載されており、背骨が硬直するほどの衝撃を受けました!

《紀柔館とは》

和歌山県和歌山市の北部にある柔道場であり学習塾。「耕不盡(たがやせどもつきず)」のスローガンのもと、知育と体育を両立することにより勉強を習慣化させて自立を促し、選手それぞれの個性を生かしながら自己表現させるプログラムを構築しています。そして、何より全国的には珍しく道場経営のみで安定した収益を上げており、地域に根ざす企業として、教育機関として、子ども達の居場所としての役割も担っています。

《訪問の目的》

『まいんど』の記事を読んだ後、脊髄反射的に道場主である腹巻先生に連絡を取らせて頂いて急遽今回の訪問が決まりました。昨今ではネット社会が発達して顔を合わさずに連絡が取り合える時代になりましたが、実際に現地に出向くことで目で見て、肌で感じて、膝を突き合わせて議論することを通して初めて分かり合えることもあると改めて実感しました。見学を通して得た新たな気づきや学んだことを所属や三重県の柔道界にもアウトプットしたいと思いました。また、特に先月は個人的に辛いことが重なり、ものすごく落ち込んでいた時期でもあったので、指導者としての限界、無能さを感じていた頃でもありました(>_<)

《学習の様子》

学習内容は人それぞれ、宿題を持ち込む者、プリントを解く者、中学生の中には期末テストの復習をしたり英語文の翻訳をしたり…各自が無駄話せず1時間集中して机に向かっていました。講師を務めるのは教員免許を持つ腹巻先生の奥様、マキ先生!徹底的に教え込むというより、質問にくる子ども達にユーモアを交えながらその問題を解決する為の糸口を提案し、本人に答えを導き出させるような手法を用いておられました!︎
まさに寺子屋…まさに女将さん…

《柔道稽古の様子》

稽古が始まる頃には畳の数より人間の数の方が多いんじゃないかと思うくらい、道場に溢れんばかりの子ども達が集まってきてました。
この日は幼児から中学生まで50名近くが参加していました…このクラスを受け持つのも引き続きマキ先生!
たった1人でこれだけの人数を捌くマキ先生のプロデュース能力、MC力、テンポの良さとリズム感に子ども達も終始ノリノリ(≧∇≦)
また年長者は自分の練習ができなくても年下の面倒をみたり、自然な形で指導者のサポートを行っているのも印象的でした。
女性指導者ならではの子ども達に対する柔軟な対応には目を見張るものがあり、決して怒鳴らなくても子ども達は自発的にやるんだと考えさせられました(>_<)
子ども達が本当に柔道を楽しんでいるという印象を受けると同時に、固定概念にとらわれないメニュー構成に、いい意味でのカルチャーショック(゚o゚;;
ただ楽しませるだけでなく、受身の指導や投込み等の怪我が伴いそうな重要な場面では、子ども達にキチンと説明を聞く姿勢を取らせる切り替えも素晴らしかった(^-^)
飽きることなく1時間があっという間に過ぎ、指導者と生徒が織りなす一種のエンターテイメントを観賞した気持ちになりました(*^^*)

《マキ先生のお言葉》

腹巻先生の指導理念を理解し、ご自身の創意工夫で今のスタイルを作り上げてこられたそうです。
ここまで到達するのに何度も涙が出そうになった…とも
「子どもたちが柔道を続ける目的は人それぞれ、うちの子達は本当に柔道が好きで、道場のことが好き、オリンピックで金メダルを取ることよりも試合で成績を残すことよりも、ここで「誰々先輩のようになりたい」って子が多いんですよ〜」
まさにこの生徒の言葉に、集約されているような気がします。

《腹巻先生のお言葉》

先生はとても穏やかな表情で腰も低く、私のような一回りも下の者にもニコニコと笑顔でご挨拶をしてくださいました。柔道の持つ可能性やその魅力の伝え方について、全柔連のこと、底辺を支える地域の道場の在り方、現行の少年ルールについて、女性指導者の育成、活用について…幅広いテーマについて冷静に分析され、独自の見解を語って頂きました。また私の疑問に対しても丁寧に耳を傾けて下さり、1つ1つ真摯に答えて頂きました。
「今すぐ変わらなくても100年後の日本柔道の姿が今より誇れるものであってほしい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

《最後に》

帰り際、お土産として腹巻先生からはたくさんの資料、DVDを頂きました。君らの世代も頑張れよ…と無言のメッセージと、何か大きな仕事を与えられたような気がしてやる気が漲ってきました!師走のご多忙中にも関わらず、私のワガママを快く受け入れてくださった腹巻先生をはじめ、奥様、道場生の皆様には感謝申し上げますm(_ _)m

reported  by 柴田 聖

三重県津市の町道場、河芸柔道クラブ代表。高校を卒業後に河芸柔道クラブを立ち上げ、現在は幼児からお年寄り、障害がある方から海外の方まで約40名が在籍。通常の稽古のほか、生徒によるプレゼンテーションやワークショップなどの学習を多く取り入れ、地域の行事に積極的に参加するなど人間教育としての柔道を標榜し活動中。街の電気屋さんとして地域のよろず相談をする傍、学校の非常勤講師として学生に電気工学を指導。趣味はゴルフ、ダンス、音楽、歴史、町おこしなど。

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